アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
ストレス社会の日米比較―――逆説、アメリカの「銃と弁護士の世界」と日本の「刀狩りと五人組の世界」
アメリカは銃の社会です。銃による犯罪殺人事件が絶えません。我々企業社会でもアメリカのある会社で、元従業員が昔のトラブルを恨んで会社に押しかけて銃を発砲死傷者が出た、という事件も起こっています。

どの社会でも負の側面はあり、日本でも犯罪は起こりえます。しかし日本の刃物等の事件に較べ、銃社会アメリカでは一旦犯罪が起こると被害は甚大です。

これから先はやや逆説的になりますが、この銃の脅威というものが平時の治安維持に役立っているということは言えると思います。特にいじめに転換される人と人の軋轢防止には大いに役立っていると思います。

職場での面罵、罵倒について

現在の日本の企業社会では「叱る」という指導方法が市民権を得ています。人間は間違ったり怠けたりする存在。「叱る」事により指導して従業員育成をする、というものです。

これが「怒る」になったらいけません。「怒る」のは感情が入って純粋の指導から逸脱する、と言われています。とはいうものの人間社会、ムラ社会の日本。この境界がなくなるのが常です。この境界どころか、「怒る」から面罵、罵倒へと進むのが常です。

これにより罵倒された方は耐え切れなくなり自殺をした、という痛ましい事件も最近日本のある学校で発生しています。

アメリカではあまりこういうことはありません。

それは身分の上下が発生しやすいムラ社会の概念がない事と、なんといっても銃の脅威があるからです。

冒頭に挙げたような職場に押しかけての発砲事件。これは他人事ではありません。あまり感情を激しての罵倒はこういう事件に結びつきやすいものです。

勿論アメリカでも効率的な職場組織の維持のために強い処断が必要な時があります。ある従業員に落ち度があったときには、

①当該従業員を呼んでルールの説明を行う、
②その従業員の落ち度を説明し(重大落ち度の時は文書化する)納得させる、
③対応を申し渡す(解雇、停職、他)、
④この時に関連証拠書類にサインさせる、
⑤この時に第三者を立ち会わせる、

という手順を踏みます。この関係書類を整備したり、第三者を設定したりするのは後の訴訟対策でもあります。アメリカは訴訟社会でもありこの対応も必要です。

まさに感情の入る余地にないビジネスライクな処置です。権威の押し付けや人格の否定のないルールに従う処置です。

日本の”心ある”人からは、「これでは味も素っ気も無い情の無い寂しい社会だ。これでは立派な組織は維持できない」という反論が聞こえてきそうです。

しかし、この”味も素っ気もある情のある”様が、銃の無い平和な日本社会とあいまって歯止めが利かなくなっている、というのが今の日本の職場社会ではないでしょうか。

こちらアメリカは、”味も素っ気も無い情の無い”、銃のあるいわば戦国社会です。良くも悪くもある一定の歯止めがかかった社会です。こういう社会は当然ながら、罵倒されて自殺に追い込まれたという事例は少なくなると思います。



その昔日本では戦国時代も終わり、豊臣秀吉が刀狩りを行い徳川時代になり五人組制度が整備されていったそうです。世の中は平和になりましたが、この制度のおかげで間接的に名主・庄屋の権威主義が横行し、密告村八分等住民の生活を制約する事態になったそうです。

この戦国時代後の社会、現在日本の自殺者の多い閉塞状況に似てなくもないですね。

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テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

コメント
この記事へのコメント
銃は人を殺さない?
こんにちは、
どうも、冷戦での核抑止のような話ですね。戦争をはじめると、核をぶち込まれるから
しないと言う事でしょうか。
NRA(National Rifle Association)が銃は人を殺さない。人を殺すのは人だと言う主張をしていますが、これには、一抹の真実があるとおもいます。
例えば、カナダも銃の大変多い国ですが、銃による犯罪の数がこの国に比べると非常にすくない。つまり、アメリカの問題は銃をもっている人間にあると言う事のようですね。
アメリカの国の始まりからの暴力的な文化がいまでも投影されているような気がします。
この問題についての映画で
Michael Moorの”Bowling for Columbine"と言うドキュメンタリーはごらんになりましたか。もしもまだでしたら、お暇な時に、お勧めします。
彼の政治的な主張に同意しないとしても面白いと思います。
2006/11/21(火) 02:46:28 | URL | calperch #-[ 編集]
こちらの日系企業で良く問題になるのが、この叱る文化のギャップですね。日本からの赴任者がある程度英語で指導できるようになると、米人にこの叱る指導方法を行います。
これが高じてくると罵倒するケースも出てきますが、米人総務が種々(銃社会である事も含め)心配して慌てて飛んできます。

弁護士の件(これはエントリーにまだ書き足りませんが)もそうですね。日系企業はセクハラに甘い所があります。こちらは個人にお抱え弁護士のいる国。そこで対応を誤ると訴訟問題になります。日本ではこの法意識が少ないので泣き寝入りをする人が多いようですね。

個人の尊厳を守るためにはこれらの”武装”が必要ではないだろうか?というのがこのエントリーの主旨です。
2006/11/21(火) 14:10:51 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
It's not personal.
こんにちは
”お前は馬鹿だ”、と”お前は馬鹿な間違いをした”の違いの理解が大事ですね。
私もいやいやながら、このような件に携わった事が何度かあります。
仰るとおり、法廷を見据えながらの処分対応はこちらでは必要条件ですね。
2006/11/21(火) 14:36:56 | URL | calperch #-[ 編集]
Calperchさん今晩は。
ご指摘の「”お前は馬鹿だ”、と”お前は馬鹿な間違いをした”の違い」はさもありなんと膝を打ちました。
日本で論争をしていてもう一つ議論がすっきりしないのは「正しい、間違い基準」だけではない事ですね。言い換えるとルール規範だけではないということでしょうか。
「理屈はそうだがお前はけしからん。馬鹿野郎!」と高じて行きますよね。
英語も罵倒する言葉はあるのでしょうが、米人同士の議論を聞いているとかなり白熱してもこの「正しい、間違い基準」で話をしていますよね。
2006/11/22(水) 13:40:47 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
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2006/12/19(火) 02:10:14 | | #[ 編集]
”田舎教師殴打出血事件”のエントリーでも書きました。本エントリーでもそうですが、いじめをなくすにはある程度のカウンターパワーというのも必要ではないでしょうか。
昔の学校のげんこつ、ビンタ、アメリカ銃社会しかりですね。必要悪ですが....法律、警察、軍隊、と人の社会は必要悪で成り立っていますよね。
2006/12/20(水) 14:43:10 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
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