アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
アメリカ社会からのアメリカの大学への期待像―――企業の採用側の論理
当方の愛読しているブログにCalperchさんのブログがあります。このブログはアメリカの大学生活も取り上げており、留学生やアメリカ国内からの就学生、その関係者等にとって有益な情報提供、情報交換の場となっています。

ここでは「どういう大学生活を送るべきか?」、「大学側の学生への期待値はどういうものか?」という議論が盛んです。これの答の一面になると思いますが、「アメリカ社会即ち企業側が大学側、学生側にどう云う期待をしているか?」を取り上げてみたいと思います。

当方は現在アメリカ企業での採用側にいます。これから見た期待像を過去にCalperchさんのブログにコメントをさせていただきました。これを補稿したものを掲載させていただきたいと思います。


学歴に裏打ちされた実力社会、非大学ブランド社会

当方の経験はアメリカ中西部の中規模の企業においてです。勿論これより大きな企業は数多の如くあり、又スモールビジネスの盛んなアメリカでは小規模な企業も数多の如くあります。よってごく平均的な企業像と考えていただいても良いと思います。

ここでは学歴に裏打ちされた実力社会が厳然としてあります。アメリカンドリーム体現の国。学歴に関係なく実力でのし上がるという図式も多いですが、一方で学歴に裏打ちされた実力社会でもあります。

こちらではご存知のように一律の学生の定期採用というのは有りません。企業側で仕事のポストが必要になれば(Open position)その所要用件(Job Description)を明示して採用にかけます。

その採用は差別に敏感な国アメリカですから、年齢や所属団体で絞り込んでは出来ません。即ち大学卒業予定者として限定して採用できないわけです。勿論大学卒業と同時に就職する学生は数多います。それはその企業の必要とする所要用件に合致したから、即ち実力で採用されたからです。

よって学生の応募者も当然ながら常に実力を見られます。そのOpen positionには勿論労働市場の活性しているアメリカ。就業経験者も応募してきます。そんな人達との比較で採否が決まります。

日本の様に定期で採用、潜在能力に期待し企業内教育で育てていくというスタンスは取りません。あくまで顕在能力が勝負です。

この顕在能力の育成にアメリカの大学や学生は奮闘努力しています。そのエネルギーたるや半端ではありません。当方の息子たちもこちらで大学生活を送りましたが、あるセメスターの終わった時にはへとへとになって家に帰ってきました。

実力社会ではあるが大学側がそれに対応している、という図式が出来上がっており、採用側もこれを経験的に認めて学歴を尊重しています。高学歴者の方がこの方面の実力はあるというのは高い確率で証明されており、動かしがたい事実です。

又、大学側もこの事実に安住せずこの実力育成のために、常に学生に「何をやりたいのか?」、「何が出来るようになりたいのか」を問い続けているわけです。

いわゆる大学のブランドについては日本よりは考慮には入れません。確かに有名大学卒業の学生は潜在能力はあります。しかし、採用のプロセスが、①Open positionの認識、②Job descriptionの確認、③応募者への期待像の提示、....となって行きますので、期待像が噛み砕かれておりネームバリューの入る余地は余りありません。

又、こちらでは小さな地方の大学でもある部門に特化し研究教育に力を入れています(これこそ本当の高ブランドかもしれませんが)。よって日本の様に大学名だけで判断する事は余りありません。

レジメ(履歴書)

採用活動で重要な事はレジメの確認です。これには過去の経歴、成績等が書かれています。アメリカではその人の学生時代の成績のみならず、経歴を重視します。どう云うことをやってきたか?どう云う業績を上げたか?等です。

学生であれば成績もですが、どう云う学内活動をやってきたか、学外活動、インターン、ボランティア、等の活動はどうだったか?です。アメリカの学生が勉強で疲労困憊しながらもいろんな活動をしているのはここに起因しています。

採用方法

企業側の採用方法は所定のレジメ以外はインタビュー即ち面接で行います。筆記試験はあまり行いません。上記のレジメの内容をほぼなぞりながら応募者に口頭で説明を求めます。

そうです。アウトプットの評価の国です。いくら優秀でも成績が良くても、このアウトプットがまずいと採用を見合わせます。

押し出しの国アメリカ。大学でもこのアウトプットをいやというほど重視していると思います。中には多少論理的に弱くても堂々とプレゼンを押し切る、というアメリカの学生もいるという事。これも企業や社会の期待像から来ています。

勿論機会の国アメリカ。有望な応募者には2回目、3回目のインタビューを行いこのアウトプットの実力をよく見極めます。

まとめ

アメリカでは芸術や基礎研究も盛んで優れた大学が多いので、上記の図式が当てはまらない部分があるかもしれません。しかしどの分野も考え方は共通な物があると思います。

アメリカの大学は上記の考え方を汲んで学生の教育を行っています。学生の皆さん、関係者の皆さんにとりこの一文が参考になれば幸いです。





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コメント
この記事へのコメント
いちろうさん
私のブログの紹介を頂き、有難うございます。まだまだ、拙いのもですがいちろうさんの応援もあって今に至ることが出来ました。

いやあ、この記事を読んで"労作”という言葉が浮かびました。ご苦労様。このように
社会のなかでの教育や大学と企業との相関関係というものが理解できれば、大学に対する理解も深まると言う面も確かにあるのではないかと感じます。

おっしゃるように、ここは実力社会で何処で
何を学んだか、より何を成し遂げる事ができるのかが評価の第一ですね。大学の名前は最初にいろいろなドアを開くという役目は果たすかもしれませんがそれ以後は実力の勝分ではないのでしょうか。

面白い事に、アメリカの大金持ちの一番は
Harvadのドロップアウト二番目がネブラスカ州立大学。金持ちになるのが一番の人生の目的ではないとしても、この例がしめす物があるのではないでしょうか。
2007/03/11(日) 03:39:58 | URL | calperch #-[ 編集]
Calperchさん
こちらこそ、いつもCalperchさんの記事を楽しみにしています。

今回記事で触れませんでしたが、こちらでは企業への就業後も”キャリアを重ねる事”への価値観がありますね。

ある企業に入社しても次のキャリアを目差して勉強をしていくというものです。この文化も大学や学生への期待像の育成に一役買っていますよね。
2007/03/11(日) 14:30:19 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
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