アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
日系グローバル企業のプレゼンに見る日本とアメリカの文化の違い―――組織、個人の責任、Good job
今週末、当方のお客さんである日系且つグローバル企業の産業車両メーカーA社の、年次のサプライヤーミーティング(購買方針会議)に行って来ました。サプライヤー60余社100人超の出席者を前に、そのA社の一年間の活動内容が報告され、我々サプライヤーへの要求事項が出されました。

最近では、少し前までの無理難題押し付け型ミーティングから、「うちも頑張っているからお前達サプライヤーも頑張れ」という率先垂範型サプライヤーミーティングに変わりつつあり、A社の改善事例もふんだんに発表されました。

その発表。A社はグローバル企業であり日本の本社と基本のベクトルはあっていますが、細部の内容は各部課のアメリカ人が作成し発表しています。そうなるとアメリカ的な価値観が表れ、日本人から見ると少し違和感のある表現になってきます。

それを見てみましょう。

組織表での位置づけ

各改善事例は各流れに沿って(ビジネスの世界ではストーリーと言います)説明します。その一番初めに来るのが組織表での活動グループの位置づけです。これは日本の改善事例発表のプレゼンにもありますがさらりと流すだけです。

ところがこちらでは組織表を前に「誰が責任者で誰がレポートして、構成員は誰々です」と微に入り細に入り発表しています。これにより、この組織の項の説明にも時間をかけています。

これは終身雇用で人事異動もあり企業一家のためにはどこの部署でも一生懸命頑張る日本と、ある特定の職種、部門を専門として就業しその職種のプロを任じているアメリカの就業観の違いから出ているものと思われます。

作業者の責任

ある部門の工程内不良の分析の項です。ある不良がなかなか減りません。そこでいろんな手法を駆使して調べました。そうしたら特定の作業者に不良が集中している事が分かりました。そのプレゼンでは、対策としてはその責任作業者への教育となっていました。

これは日本であれば、「作業者の責任は理解できるが作業者も人の子。間違う事もある。誰がやっても間違わない方法を考えましょう」というところに行き着きます。

これは“ポカヨケ(Poka yoke)”といって英語にもなっている考え方ですが(本をただせばアメリカからやってきた“Fool proof”の考え方が逆輸出をされたものです)、こういうアメリカ人グループ単独の分析になると、時々この‘個人の責任‘の考え方ちらほら出てきます。

「現場作業員とはいえ会社と個人の間の雇用契約。その契約に従って責務を果たすのは当然。それを当然足らしめるように教育をするのは担当部署、上司の責務」という方向に考え方が行くのでしょう。

アメリカではこれをカバーするために、各教育記録や指導記録がとられ本人の確認サインも取ります。ある意味書類偏重主義的なところがあります。細かい品質上の歯止めはこうした書類ではなかなか出来ません。アメリカ製品の品質が日本製品の後塵を拝している一因になっています。

しかし企業の不祥事、特に最近の食品会社の賞味期限切れ材料の使用や品質の悪化という面で見ると、アメリカの書類での確認、責任所在の明確化というのは大きな歯止めになっているのかもしれません。アメリカではあまり雪印や不二家の様な企業不祥事の事例は聞きません。

“Good Job”の世界と「まだまだ安心するな」の世界

アメリカは子供のスポーツから大人の仕事まで“Good job!”の世界です。この現象がこうしたプレゼンにも現れます。

A社のある工程の社内品質の成績です。この不良率の成績は大体目標線に乗っかってきていますが、最近少し上昇(悪くなる方向)気味です。日本であれば「これはゆゆしき問題です。早急に見直す必要があります」と言って眉をひそめてプレゼンするでしょう。

しかしここはアメリカ。以下の報告でした。

“……good achievement. “ “This measure is obviously good. However it is little climbing up.(......立派な達成です。明らかにすばらしい結果です。しかしすこし悪くなっています)” “We achieved. But it was not optimistic.(我々は目標に到達しました。しかし楽観はゆるしません)“

多少の警告を発しているものの概ね“Good job”の世界です。生れ落ちた時からこの”Good job.”と呼ばれ、呼んだ人生。良くても悪くても、この“Good job.”の結論がないと不安でしょうがないようです。

このいわば甘さも、アメリカ製品が日本製品に駆逐されている要因の一つではありますが、戦後平和が続き、経済的繁栄を謳歌している日本人が閉塞感に苛まされていることを考えると、我々日本人も威張れたものではありませんね。


このA社のミーティング。たかがプレゼン、されどプレゼンで色々考えさせられる内容でした。






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