アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
日系グローバル企業のプレゼンでの英製和語(?)―――“Kaizen”,”Genba”,”Poka-yoke”等々
先日のA社のサプライヤーミーティング(購買方針会議)。もう少し気付いた事の報告をします。

英語化した日本語

アメリカの産業界、特に自動車業界は日本の製品が凌駕しています。それに伴い日系の自動車会社、産業車両会社、部品会社の進出が続きました。当然そこには日本的管理手法も組み込まれてきます。その中の用語で日本語がそのまま英語になったものもあります。

Kaizen-----改善
Genba------現場
Genbutsu---現物
Kanban-----カンバン
Poka-yoke---ポカヨケ
Muda--------ムダ
Kojun--------工順(工程順序)

その他、各会社の特有のイベント名等をそのまま日本語を使っている所もあります。

Ryosi-------量試(量産試作)
52Ki-----52期
Sanki-------3期(若しくは産業機械の産機)

これらは、日本でも特別の意味合いを持たせている日本語の用語。これを英語化することでその意味合いが消えるのを嫌ったために、日本人のアメリカでの管理活動先駆者達がそのまま使い始めたのが英語に定着したものと思われます。

例えば“Kaizen”。日本語では「改善」で、これは「改め良くしていく」事です。英語に訳すと“Improvement”。しかし改善のエキスパート達はこれでは不満です。それは「改善」の真の意味は「継続して日々観察、改善していく」ということにあります。”

Continuous improvement”という訳も出回っていますが、「日々観察」という部分まで伝わっているか不安だ、というのがエキスパート達の論点です。その点“Kaizen”というのはこの部分の考え方を日米で共有できるというわけです。

“Genba”,”Genbutsu”,「現場」、「現物」もそうです。英語で言うなら”To identify problems by seeing actual parts at actual shop floors.”とでもなります。しかし日本での「現場」、「現物」の大切さがいまいち伝わりません。

Poka-yokeは「ポカヨケ」。不良が出ないハードな歯止めです。これは戦後産業界に“Fool-proof”という英語が日本に入ってきて、それが熟成して日本語となり、今ではアメリカで市民権を得ている英語です。

最初これを日本人スタッフが「バカヨケ」と訳し現場で話していた所,現場の作業者が「どうせ私はバカですよ」と言って泣き伏したとか。それで「ポカヨケ」になり日本に広まったと言います。

この考えを再度英語で”Fool-proof"と訳し変えていたのでは、長年築き上げた「ポカヨケ」の真髄がうやむやになると先駆者達は考えたのでしょう。



これらの管理手法の基になるのは、戦後デミング博士の統計的品質管理手法やIE、フォード生産システムとしてアメリカから入ってきたものでした。これらが今ではアメリカに逆輸出されてアメリカ人がこぞって学ぼうとしているのは、歴史の不思議を感じます。







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テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

コメント
この記事へのコメント
kanbanと言うのは,何ですか。
こちらのトヨタの合弁工場を見学にいった、日本語の出来る中国人の人に、あそこでKanbanと言うのがあったけれど、この意味は何でしょうと、尋ねられたことがあり、私には答えられませんでした。

これは、どういう意味ですか?いちろうさん

ご教示を!!

2007/05/22(火) 10:02:52 | URL | calperch #-[ 編集]
Calperchさん
コメントありがとうございます。これは狭義には”Re-order point card"といって、前の工程への物の発注カードです。

製造工場では各工程ごとに、材料部品を加工して工程を進めて行きます。そのときに各工程で何をどれだけ作るかの目安にとして、箱にカンバン(カードみたいなもの。文字通り看板)をぶら下げます。

そのカンバンを次の工程で材料部品を使った時に外し前の(元の)工程に持ってきます。前の工程でそのカードがあるという事は、次の工程で材料部品が必要だ、ということです。

これは生産計画システムのどの方法より画期的に在庫削減が出来ます。

この在庫削減が進むと、今までの余分に作りすぎていたムダ、機械(速すぎ、遅すぎ)のムダ、運搬のムダ、人の動きのムダ、手直しのムダ等が目に見えてわかるようになります。

この手法を取り入れて在庫削減ー>ムダの顕在化ー>そのムダの改善ー>企業体質の強化、の一連の流れをおこないますが、これを広義のカンバンシステムと呼んでいます。

フォードシステムやIE手法は各工程の能率スピードを上げるという部分最適の考えですがこのカンバンシステムは、ある工程はスピードを落としてでも全体の効率を上げ、ムダを少なくするという全体最適の考え方です。

物理学者のゴールドラットという人の”The Goal"という本が大ベストセラーになりました。これは全体最適の重要性を指摘したものです。優れた本ですが、基本的にはカンバンシステムに通じていると理解できる本です。

工場のエンジニアー、管理者層はアメリカではスペシャリスト追求型教育を受けていますので(日本はゼネラリスト指向)、「機械のスピードを落とせ、効率を下げよ」という工場改善手法はなじむのに時間がかかりますね。

大学教育論から考察しても面白そうな命題ですね。Calperchさんに期待!
2007/05/22(火) 13:43:02 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
徹底的にムダを排除し利益をあげる。トヨタ、イコールカンバン方式。って言うイメージが強いですね。
岳人の勤め先は、クルマで例えると5インチタイヤの三輪車から、全長15mの大型観光バスまで同じラインで製造しているようなところでして、あちらこちらにムダばかり、just in timeなどとは程遠い状態です。。。
2007/05/23(水) 02:00:55 | URL | 岳人 #-[ 編集]
Just In Time方式
いちろうさん

サインの看板だったんですね。在庫を他人にもたせて、必要な時に必要な部品を遅れずに搬入するというのは、大変の努力がいるようですね。

このトヨタの合弁工場でも、最初は工員が紐をひいて、製造工程のすべてのラインを止めるという品質管理のやりかたが、アメリカ人の管理職に納得してもらえなかったと言います。以前はGMの工場であったので、そこでは、ラインを止めるというのは、想像の域を超えた考えであったようです。

ご教示に感謝を


2007/05/23(水) 02:10:20 | URL | calperch #-[ 編集]
岳人さん
日本の自動車会社は、いろんなタイプの車を交互に組み立てるそうですね。色から車種からカンバンにしたがって交互に作るそうです。混流生産と言うそうです。

こちらの地元にフォードの工場があります。SUVを作っていますが現在不振。工場閉鎖が取りざたされています。しかしここでは、売れ筋車種を持ってきて造り工場延命しよう、という話は聞きません。

ここらが日米自動車会社の実力差になっているのでしょうね。
2007/05/23(水) 14:29:30 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
Calperchさん
この生産方式の教育で一番難しいのが、このラインを止めなさい、と言う考えですね。日本人でも難しいですが、アメリカ人もその部門効率主義、個人主張の強さから難しいようですね。

そういえば’Harmony'という言葉はあまり我々の世界では(ビジネス社会)では使われませんね。
2007/05/23(水) 14:35:56 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
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