アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
「忠臣蔵」が起こりえないアメリカ社会―――奢り、奢られの饗応の習慣の少ないアメリカ社会
忠臣蔵の発端の松の廊下刃傷事件は、朝廷の勅使への饗応役をめぐっての吉良上野介の浅野内匠頭への嫌がらせに端を発しました。

この物語は「義」や「忠」「お家再興」等日本的な特徴満載で、なかなかアメリカでは起こりえないストリーです。この物語の発端の饗応というのも日本的な特徴で、こちらアメリカではあまりなじみがありません。

接待は昼食

こちらの企業では日本の接待に相当する用語はEntertainment があります。直訳すると「歓待、もてなし」ですが、こちらの社会背景からか日本の接待から較べるとずいぶん地味です。

多くのアメリカの企業ではこのEntertainment expenseを使うのは、お客さんへの昼食支払いくらいではないでしょうか。日本のような夜の宴会、休みのゴルフ、等はあまり目にしませんし聞きません。

これは以下のような背景があると思います。

①家庭を大事にするアメリカ社会では、アフターファイブや週末の接待はするほうもされる方も乗り気ではない。

②車社会、広域通勤社会アメリカでは、接待元接待先みんなが集まってのアフターファイブの飲食が物理的に難しい。

③個の社会アメリカでは、日本のような「企業一家」に代表されるムラ社会的な接し方、即ち「わが社の社長が是非とも宜しくと申していました」的な関係構築が少ない。

④これによる、日本のような「社長も頑張れ、よろしくやってくれと言っていたよ」に始まる社内接待(官官接待もこの一種か?)というものも少ない。


こちらで時々あるのがスポーツ等のチケットを贈る事ですが、これも家族大事のアメリカで「ご家族でどうぞ」という事でチケットを配布するだけで、接待元は参加しないのが一般的です。

当方もこちらの企業で、営業から日本の親会社の窓口業務みたいなことをやっています。お客さんとの接触も多いのですが、日本基準から言ってはるかに少ない接待費で済んでいます。年に数回ある接待費の出費も、お客さんとの昼食のみです。

プライベートでも割り勘が殆ど

プライベートでも日本と違い、奢り奢られの関係の少ない所です。これはどなたかのブログで紹介されていましたが、5~6人でレストランに食事に行き勘定を払う段になると、一枚の伝票でも自分の分だけ支払って(カードでも現金ででも)さっさと出て行きます。

当方が赴任直後こちらのアメリカ人の部下にレストランで「上司の貫禄を見せ、日頃の感謝を込めて」お金を払おうとしたら、「何であなたが払うのか?」と怪訝な顔をされました。

これも上記の、①誰にも依存しない、へりくだらない個の社会である事に加え、②宗教的な感覚か、お金を払ってもらう即ち「施される」ことに対して一定の距離がある、事があるのではないかと見ています。

英語で”Dutch treat”といって「割り勘」という訳がありますが、日本の英語学習ではむしろこれは負の意味合い、即ちケチである意味合いの時に使われるようです。しかしこちらではこれは揶揄する事でもなんでもなくごくごく当たり前の事です。

もちろんこちらにもたまに奢るということはあるのか、英語でもこの表現があります。昔英語の学習では”I will treat it.”と習いましたがあまり聞きません。よく聞くのは”I will buy your lunch”です。

さすがに奢り奢られの文化未開の地アメリカ。無粋なほどの直訳英語ですね。「饗応」などという“美しい(?)”日本語には負けますね。




この“美しい言葉”のないアメリカ。これにかかわる刃傷事件、その後のお家再興運動、義士による討入りなどという物語は起こりようがありませんね。




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コメント
この記事へのコメント
レストランで団体で食べても、個別のレシートがすぐに出てきますよね。日本の場合は、「別会計」というだけで結構嫌な顔をされますが。でも正直言うと、アフターファイブにお金がかからないのでアメリカ型の方が好きかも(笑)。
2007/06/21(木) 09:55:44 | URL | ざっく #-[ 編集]
雲の上では
こんにちは いちろうさん

儀典という言葉が適用されるような行事は、ホワイトハウスや国務省の
迎賓会場といったところでは、今でもあるのではないでしょうか?私のような平民には、縁の無い話ではありますが。

Foggy Bottomとあだ名で呼ばれる国務省の建物の中にこの迎賓会場があります。見物にいきました。ここにはアメリカ版Killerがいるかもしれません。

庶民については、まったく仰るとおりですね。私は仲良しとは、交代で
ランチ代を払っています。年に関らずに一人前であれば、割り勘でしょうね。おごりの時には
It’s on me。といったり、割り勘にしようやの場合には
Let’s go on dutch。とも言うこともあるのではないかと思います。

夏はどう、おすごしですか?

2007/06/21(木) 11:37:56 | URL | calperch #-[ 編集]
ざっくさん
ざっくさん、お久しぶりです。今日本にいるのでしょうか?

そういえば日本ではこの伝票/レシートの奪い合いというのをやっていましたね。「俺が払わないと面子がつぶれる」ということがあるのでしょうか。

そういえば「中国人の面子」という本を読んだことがありますが、文化的には同じ東アジアの民族。この「面子」を重んじる文化は共通の所があるのでしょうか。

コメントありがとうございました。
2007/06/21(木) 14:19:29 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
Calperchさん
当方は全くもっての草の根市民。おエライ所はよく知りませんが....土地や建物ユーティリティが安い国だけに、荘厳な建物を想像します。

英語表現は使い分ける間もなく割り勘一方ですのでなかなか覚えません(笑)。

夏は既に始まっています。気温も90度以上が何回もあります。今年はこちらは雨が少なく乾燥状態です。今年は独立記念日が週中で、ビンボー会社員としては休みが無く辛い所です。
2007/06/21(木) 14:31:35 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
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