アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
それぞれの人生スピード---”Diversity”にみるアメリカの多様性のある人生の選択肢
アメリカの人生の多様性については、最近Calperchさんのブログのエントリーで話題にされ、当方もコメントさせていただきました。こちらでは学生にしろ社会人にしろ人生の選択肢が幅広いという内容です。

アメリカの価値観の重要なキーワード(おそらく一番)は”Diversity(多様性)"です。これは、人生の多様性を論じた事でもあります。これについて当方の見聞内容をもう少し加えて、こちらの人が如何に多彩な選択肢、言い換えると幸福感を持っているかあげてみましょう。



学校では

(その1)少し前まで当方と一緒に仕事をしていたJoe。彼には小学校前の子供さんがいました。その子供さんは元気な子でしたが、少し情緒不安定で小学校でみんなとやっていくには少し難しいとの事。Joeはその子の小学校入学を一年遅らせました。

これを彼はごく普通に職場の同僚に話し、回りも当然のごとく受け入れていました。学校でもごく当然の事の様に先生側、生徒側も受け止めていたようです。

(その2)当方の上の息子がアメリカに来たのが中学校2年の時。こちらの現地のJunior High School(中学校)の2年に編入し通学しました。さて、中学が終わり(こちらは4-2-4制で中学は2年間)高校入学の段になった時に、息子の英語力では高校が難しいだろうということになりました。中学の先生の勧めもありもう一年中学2年の課程をやることになりました。

日本的な価値観の残っていた当方らは大変不安でしたが、こちらの人は当然のごとく対応。友達も年の上下の感覚はなくすぐに新しく出来、息子も新しい学年になじみました。

(その3)これも昔の同僚Daveの息子さん。その息子さんは非常に優秀で高校開闢以来の秀才とうたわれていました。当然有名大学に進学するものと回りも思っていたようですが、彼の選択は、地元の小さな大学のエンジニアリング系の学科。

ここは小さいながらも定評のある学科でそれなりに有名ですが、それにしても小さな地方の大学。当方ら、彼の成績を知る日本人はみなびっくり。彼の話によると、「この学科の教授について勉強したいから選択した」との事。これも、アメリカ人の間では当然のごとく受け入れられていました。

(その4)これも昔の同僚Larryの息子さん。Larryは会社の幹部を務めており非常に優秀。彼の息子さんも高校で非常に優秀でした。当然経済的にも問題なく大学に進むと思いきや、その息子さんは車の板金が好きだとかで板金工の道を選択。高校を卒業してすぐに板金工(見習い)として就職しました。

さすがに、このケースはお父さんのLarryも大学に入るように説得したそうですが、自分の道は自分の意思で決めるアメリカの事。最後はLarryも納得してあきらめていたようです。

(その5)大学の卒業も多様性に富んでいます。当方の下の息子は秋の大学卒業シーズンには卒業せずに、翌年明けに卒業。その時の卒業式に参列しましたが、当初は少数の学生の特別措置の卒業ではないか、と感じていました。しかしその卒業式の盛大な事。多くの学生が卒業式を迎えていました。

卒業式も年に数回あるとの事です。学生の多様性にあわせて就学のコースが多様にあり、卒業も時期さまざま、といった所です。

職場では

(その1)これも、日本から見ると欠落している観察ポイントですが、こちらではいわゆる企業の学生への定期採用という事はありません。企業が必要とするポジション(オープンポジション)に対して、採用をかけます。この時に”新卒求む”という条件は出来ません。年齢による差別となります。

そのポジションに必要な要件を示しそれにマッチした人材を採用します。これには、新卒の人、既就業の転職組入り乱れて応募してきます。たまたまマッチした人が新卒の人であれば、その人は幸運にも新卒で採用ということになります。

しかし、”将来期待先行投資”という考えの少ないアメリカの企業。即戦力を求めます。新卒の学生が既就業の転職組に伍して採用されるのはなかなか難しいところです。多くの新卒の人達は、アワリーの仕事から経験を積んで次の機会を待つということにもなります。

(その2)定年退職。これは日本では、我々の世代では生きがい、家計含めて切実な問題です。定年後の生きがいをどうするか?定年後の家計をどう維持していくか?です。しかしこちらでは定年退職なるものはありません。

ある年齢になると退職せざるを得ない、というシステムは年齢による就業差別となります。よってこちらでは定年退職なるシステムはありません。年齢により所要の能力が発揮出来なければ、辞めさせられるというシステムのみです。

よってこちらでは、70歳を超えたひとも元気で働いています。Calperchさんのご報告では90歳代の上司がいたとか。

もっとも、こちらの人も老後の安定した暮らしということを考えるようで、Retirementという概念はあります。しかし、これも本人の意志に基づくRetirementで社会の仕組みで何歳と決まっているわけではありません。ある人は50歳台、ある人は70歳台と本人の意思しだいです。

こちらで戸惑うのは、退職する人に”Happy retirement!”と祝福の言葉を送る事です。日本の定年退職の感慨では「長年この会社に大過なく勤めて退職できるのは目出度い事ではあるが、さてこの先どうやって生きがいを見つけていくか?家計を支えていくか?」という事が先にたち、とても”Happy”ではありませんね。こちらでは、自分の意思で見極めをしてからの退職なので”Happy”というわけでしょう。




人生すべからく多様性を重視するアメリカ。その価値観、幸福感は多様です。考えて見るにこのキーワードの”Diversity(多様性)。日本ではアイデンティティやソフィスティケイト等難しい英語の和製英語が出回っています。この”Diversity(ダイバーシティ若しくはディバーシティ)”というアメリカではもっとも重要なキーワードが和製英語化しないのは、その定義自体が日本では理解され難いという事が大きなファクターになっているのでしょう。





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コメント
この記事へのコメント
いちろうさん、この「多様性」という概念は面白いですね。特に、学校での話は感心します。
私は、ズーッと気になっていたんですが、日本では高校時代の成績(あるいは偏差値)で、受験する大学と学部が決まっています。高校の教師も本人のやりたいことよりも、「どこなら進学できるか?」の方に興味があるようです。
どうも、今でもその感じで、本人が将来やりたいことがあり、そのために必要な大学教育を受けているということではないようです。
教育の目的が「できるだけいい大学へ入学する」ということに絞られているんでしょう。そんなレールに乗せられて育っていくんですから、生き方に「多様性」を求めるのも難しいのかな。
2007/07/29(日) 19:02:42 | URL | 英さん #-[ 編集]
英さん
大学の学生への期待値の多様性は、Calperchさんのブログでも論じられています。これはこれで大きなテーマです。

当方はその先にある就職のときの、企業の人材期待度のあり方、即ち日本の様な”将来期待先行投資”をとらずに、即戦力という考えをとることが大きいと思います。

大学もそれにあわせて学生教育を行い、それにあわせて入試を行う。即ち日本で言うところの偏差値のみではなく、学外活動や部活動等まで含めた総合的な判断で入学者を決めているようです。

ここらから、人生の多様性(逆に多様性があるから、こういうシステムになったのか?)が出来ているのだと思います。


2007/07/30(月) 03:11:27 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
多様性のすすめ
出遅れてしまいました。ごめんなさい

多様性というのは、それを尊重するとか、それを肯定的にとらえるという
心の持ち方。またこれを反対から
捉えると個性的であれ、そしてこの多様性の寄与せよということも
いえるのではないでしょうか。人と違うものを持っていれば、それで有利に
なると言う面も出てくるかと思います。
人種や民族というような属性は個人では勿論変えられません。しかし、趣味や道楽、スポーツ、ダンス
といったもの、あるいは技能は個人の努力しだいのところもありますね。

この多様性の反語の等一性が日本社会の特徴だとしたら、日本から、アメリカ社会を理解するには、相当の想像力がいるのではないでしょうか。

具体例のあるいちろう流の草の根評論の面目躍如の記事と感じ入りました。
2007/08/03(金) 02:30:18 | URL | calperch #-[ 編集]
Calperchさん
その昔(日本の)プロ野球の広島カープの黄金時代に、ホプキンスというアメリカから来た選手がいました。いわゆる助っ人選手で相当な契約金で日本に来た訳で、将来の生活には困らない選手だったろうと思います。

しかしそのホプキンス。試合や練習の合間に勉強をしていました。なんでも医者になるのだとか。これを聞いたときには「アメリカ人というのは、なんていろいろなことにチャレンジするのだろう」と思いました。

日本人スポーツ選手であれば、スポーツバカでそれだけに没頭。引退後はその関連業界に就職か資金を元手にした水商売を行うのが大多数です。

アメリカでは州知事や州の議員になったプロレスラーや大学に行きなおしたプロバスケットの選手もいます。

このあたりにも多様性の事例は沢山ありますね。
2007/08/04(土) 23:39:24 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
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