アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
アメリカの冠道路にみる個の意識の強さ----アメリカの顕彰について
顕彰という言葉があります。手元の広辞苑では、「功績などを世間に知らせ、表彰する事」とあります。先達の偉業を称え名前を残す、冠するという事です。前回のエントリーの冠道路もこの類です。

日本でもちらほら見受けられますが、和をもって尊しとするお国柄ではアメリカほどは見受けられません。なにより個を尊重する国アメリカでは、道路の名前のみならず、いたるところにこの考えが浸透しています。

この個の意識や顕彰ということについて、こちらで生活していて、我々日本人から見ると「おやっ」と思うような事が数々あります。その草の根編をご紹介します。
日系子会社社長の肖像写真

こちらの日系会社に赴任していた時の事です。その日系会社のトップの社長は、日本からの人事異動で赴任してきます。その社長は主として本社の部長クラスが任命されます。任命された社長としては、その業績で将来のコースが決まります。3年から5年の間の赴任期間に成果が出るべく、本社重役からの指示も受けながら、粉骨砕身身を挺して働かねばなりません。

さて、その社長が任期を勤め上げて日本に帰任、後任の社長との引継ぎになった時の事。ある日、その社長のアメリカ人秘書が、社長室に帰任する社長の肖像写真を掲げました。今までの社長の業績を称え肖像写真に残しておこう、というものです。

これには、帰任する社長も大慌て。確かにその日系子会社は成長しており、当時数百人の従業員を抱える、まずまずの規模の会社。しかし、ご当人にしてみれば本社に帰ればヒラの部長。序列にすれば数え切れない上司がいます。とても肖像写真を掲げる身分ではありません。

なにより日本の企業社会の特徴としては、和を尊び集団での活動が重んじられます。確かに数年間数百人の子会社を運営して、成長もさせてきましたが、日本の親会社やアメリカ子会社の人々の協働の結果です。とても子会社社長おかげです、とは(思っていても)言えません。よって、直ちにその肖像写真は外されました。

アメリカ人の秘書としては、アメリカの価値観に則り肖像写真を取り付けた事でしたが、社長の命令とあらば仕方ありません。不思議そうな顔をしながら写真を取り外していました。

この肖像写真の事例はアメリカでも特異な事例かもしれませんが、会社の事務所でよく目にする事があります。アメリカ人はデスクが決まると、ヒラの人でもどこから調達するのかすぐに自分の名札を置く事です。それも、名前彫り込みタイプのなかなか立派な名札です。名前を覚えるのに困るほどの大きな事務所ならさもありなんですが、小さな数人の規模の事務所でもすぐにこの名札を揃えます。それも肩書きなしの名前オンリーの物です。

日本の事務所では最近はどうかわかりませんが、一般的には机の名札は無いのではないでしょうか?部長席や課長席という札はあるかもしれませんが。

かように、個の押し出し、顕彰というものは、こちらの企業社会でも強いようです。

その他、個の意識や顕彰の意識の強い事例

その他、こちらで生活をしていて、個の意識や顕彰の意識の強い事例は数々出くわします。

1.高校の体育館に、陸上の歴代の記録と選手名記載されている事。

これは当方の息子の高校時代にバスケットボールの応援の時に目にした物です。「100m走 John Jones 11秒3 1985年(例)」という様な歴代のレコードが体育館の一番目に付く所に掲示してありました。

2.テレビやラジオレポーターが必ず自分の名前を言うこと。

3.新聞記事には、記者の名前が掲載されている事。

4.新聞等の写真説明で、人物が移っている所は、市井の人でも必ず氏名が記載されている事。

5.(顕彰とは違いますが、個の意識という面では)新聞等、事件の記事でも犯人や被害者、はたまた死刑囚の写真と名前が記載されている事。これは未成年でも写真名前付で掲載されている。

「この世に生を受けて神のご加護で過ごしている自分。この世にただ一人のこの自分の存在を知らしめる事に何の遠慮が要りましょう」というような宗教的な考えから、この個の意識や顕彰の意識は来ているようです。



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コメント
この記事へのコメント
的外れかも、知れませんが。。
コチラ日本では、個人情報の保護などの理由で、マンションなどの集合住宅でエントランスの郵便受けに名札を出さない。病院にお見舞いに行っても部屋を教えてくれない、
病室の入り口に名前が無い。戸建の住宅でも表札を出さない。電話帳への掲載を拒否する。なんて事が広がりつつありますね。顕彰とは違いますが。。。
2008/01/29(火) 02:05:33 | URL | 岳人 #-[ 編集]
こちらも同じ様な現象ですが...
人の流動性や核家族化、共働き等、社会のいわゆる進化はアメリカが進んでいますので、こちらでも同じ現象ですね。
各家には表札はありませんし(番地のみ)、我が家にも電話帳は来た事がありません。病院は保険制度で、名札をかけるほどゆっくり居られませんし(涙)。
そんな中にも、エントリーの事例の様に少し日本と違う現象がありますね。
2008/01/29(火) 14:22:26 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
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