アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
北京オリンピック口パク事件とイチロー選手の不人気----顔の見えない事への苛立ちのあるアメリカ社会
北京オリンピックの、開会式での口パク事件は、こちらアメリカの方でも話題になりました。地元のラジオ局のアナウンサーやコメンテイターは、口を揃えて不満をぶつけていました。

偽装具合は、他の式典で出た物(花火映像、少数民族替え玉)と同じですが、特にこの口パクは、何度も取り上げて非難をしていました。

各個人の存在を重要視するアメリカ社会。口パクという、歌った少女の顔を見えなくする事は、アメリカ人の苛立ちが特に大きいようです。
顔の見える社会

こちらで、個人と個人が対する時は、相手の目を見て、自分の声でしっかりと主張するという事が求められます。これが社会の規範です。

英語の良く出来ない(アメリカ以外の)外国人でも、英語が訛っていようと癖があろうと、自分の声でしっかり主張します。

又、多くの日本人の様に英語の通訳が必要でも、通訳の合間に”Thank you。”や”Please.”の英語を、通訳を介さずにひとこと言うだけでも、随分アメリカ人は喜びます。

あるとき、英語が全く喋れない日本人が”Arigato(ありがとう)”と日本語で、しかし自分の声でアメリカ人グループ相手に言ったら、拍手喝さいというケースに遭遇した事があります。如何に、この顔が見える事を重要視しているか、という事が分かります。

口パクは、このアメリカの最も重要な規範に反しているという事で、こちらの人が苛立ったのでしょう。

イチロー選手の不人気さ

これを端的に表しているのが、こちらでのイチロー選手の不人気さです。こちら(ルイビル周辺)の普通のアメリカ人に、イチロー選手の事を聞いても誰も反応がありません。当方の紹介をする時に、”野球のイチローのIchiroだ”と言ってもなかなか通じません。

日本では、3,000本安打や各種の記録で大騒ぎと言うのに...

これは、イチロー選手が未だに通訳を介して、自分の肉声でアメリカメディアに登場していない事に原因があるようです。いわば、顔が見えない存在です。

ある時に、こちらの地方のスポーツキャスター(しかし、取材等でマリナーズにも訪れる)が、イチロー選手の事を強く批判していました。

”オールスターに何年も続けて選ばれているのに、なぜイチローは自分の声でコメントを発しないのだ。英語が問題なのは分かる。しかし、上手に喋れと言うのではない。下手でも自分のメッセージを自分で発せよ。それが(アメリカ社会で)選ばれた物の義務だ”というものです。



口パク少女の容姿、イチロー選手の成績、共に優れた物です。こちらは秀でる才能や業績に対しては、称賛する社会です。しかしこれに苛立つという事は、如何に顔が見えていないかを示しているようです。


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テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

コメント
この記事へのコメント
口パク
最近格安DVDで昔の映画を見ているのですが、歌手の卵役のイングリッド・バーグマンが歌のトレーニングの場面で、イタリア語で歌う声は明らかに吹き替えでした。

「ウエスト・サイド物語」でナタリー・ウッドの演じたヒロイン、マリアの歌声も吹き替え、「マイ・フェア・レディ」のオードリー・ヘップバーンの歌声も吹き替えです。

ま、ミシェル・ファイファーは「恋のゆくえ ファビュラス・ベーカー・ボーイズ」でプロ顔負けの歌唱力を示すなど最近は変わってきたと思いますが、どうなのでしょうか。

映画とオリンピックの開会式は別なのかなあ、と素朴な疑問です。
2008/08/26(火) 22:45:32 | URL | ADELANTE #NLJharc2[ 編集]
Credit(表示)はどうなんでしょう?
映画の事は詳しくありませんが...

映画では、スタントマンが存在することですので、歌の吹き替えも存在するのでしょうか?

Creditがあれば、顔が見えないとはいえ、正当であると判断するとは思いますが...著作権、映像権意識の高い欧米では、きちんとしているとは思いますが。

欧米社会では、Creditも無ければ、吹き替え元(?)の歌手も、正当な権利を要求して裁判を起こすのではないでしょうか。
2008/08/27(水) 13:43:16 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
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