アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
「英語を話せるようになるには!!!!!まず英語を話し始めなければなりません」-----英語が使える条件
桂枝雀さんの落語の枕に、以下のような話があります。

「....お金というものは、総体に寂しがりややそうで、みんなのおる所おる所に集まりたがるんやそうで....ですからもう、お金を貯めようとすれば、まず!!!!お金を貯め始めなければなりません(笑い)」

笑いというのは、緊張と緩和がポイントだそうです。このケースでは、「お金を貯めるには、まず倹約生活をしてそれからお金の運用を計画して...」という大向こうの姿を描きがちですが、実際はまずお金を貯める事からはじめなければならないという、簡単なステップとの落差の所に可笑しさがあります。

それでは、これはどうでしょうか。

「英語を話せるようになるには、まず英語を話し始めなければなりません」

苦笑くらいでしょうか。「英語を話せるようになるには」との前段では、文法や発音の学習や語彙も覚えて....と日本人の多くの人が挫折するくらい大変な事です。ところが、後段の「英語を話し始める事」ですが、お金を貯め始めるほど簡単でないと思われているのは周知の事実です。そこにこの話の屈託なく笑えない所があります。「それが出来れば苦労は無いよ」というところでしょうか。

しかし、「お金を貯め始めなければ、お金はたまらない」のと同様に、この「英語を話し始める」というステップを経なければ、「英語を話せる」ようになりません。



日本の英語教育での話すトレーニング

「それが出来れば苦労は無いよ」と嘆くのも無理もありません。日本の英語学習では、英語の読む、書く、聞く、話す、要素の内、話す事は聞く事とあわせてあまり行われていません。もっぱら、試験等の評価に使いやすい読む事と書くことが学習の主体です。

最近でこそフォーニックの学習が増えてきているようですが、それでも依然として読み書きの学習が主体ではないでしょうか。

多くの日本の英語学習者が英語を話せないのは、端的に言うと話す訓練をしていないので話せないということに尽きます。

英語を話すという事

英語を話すということは、同じアウトプットでも書くこととは一線を画します。

書くことは、論理的に整理された知識の体系を、注意深く引き出す事です。いわば、見出しをつけた引き出しに収納されたカードを、注意深く見出しを確認しながら引き出すような感じです。

一方話す事は、瞬時のトランプカードあわせみたいな物で、相手に合わせてすばやくこちらもカードを出す、という感じでしょうか。相手のカードに合わせて瞬時にこちらのカードを出さねばなりません。そのためには収納の仕方も見出しをつけて体系だってというよりも、取り出しやすさを第一に考えなければなりません。

又、取り出し方を何回か行い、取り出しやすい所に収納しておくという反復練習も必要です。試験問題を書かせて解かせるという記憶力や理解力よりも、反復練習を積むという持続力や実行力が必要とされます。

それから、カードを出すのも時間軸が重要で、いかに正しいカードでも相手のカードに間に合わなければ何もなりません。相手がハートのエースを出してもこちらになければ、ハートの2を出して、言いつくろう事も必要です。

当然書くこととは、カードの収納の仕方も、カードの出し方も違ってきます。全く違った作業方法といって良いでしょう。

英語の上達を目指して、いろいろ本を読んだり、書く練習をしたりしますが、基本的にはこれだけでは、話せるようになりません。カードの収納の仕方と出し方が基本的に違います。

ブロークンイングリッシュ(注1:下段)の過程

英語を話す練習の、このすばやくカードを出すという事は、慣れないとカードがばらばらになったり散乱したりします。英語で言うとブロークンイングリッシュです。発音や文法が後回しになる事です。

しかしこの時期を経ないと、手馴れた綺麗に整理されたカードにはなりません。こなれた英語にはなりません。

この時期があるということが、英語を使えるようになる条件といってもよいでしょう。

しかし、大多数の日本の英語学習者は、このブロークンイングリッシュ状態を恥ずかしがって、恐れて忌避しているのではないでしょうか。これでは英語を使えるようにはなりません。

ネイティブは勿論、日本の英語のご大家の方々も、英語の取り組み始めた頃には、ブロークンでした。保証します。ブロークンでなかった人の事例を知っている人がいれば、金一封を差し上げます。

ネイティブとはいえ、赤ん坊や子供の頃に言葉をいろいろ矯正されながら育ったわけです。英語の大家しかりです。ましてや学校や社会人になって英語を学習し始めた人が、ブロークンでないわけがありません。

当方の例で言うと、前回エントリーで紹介した、35歳当時の日本でのアメリカ人研修生受け入れプロジェクトの頃でした。

このブロークンの過程が英語を使える条件だとしたら、このブロークンの状態を推奨しない手はありません。

世の英語学校や英会話教室を、ブロークン英語学校やブロークン英会話教室にすれば多くの人々の英語へ緊張がとれて、上達も速いでしょうに。


まとめ

そうです、この英語への緊張を解く事が必要です。さすれば、「英語を話せるようになるには、まず英語を話し始めなければなりません」も、「まず英語を話し始めなければ」の後段の部分も(緊張の)緩和になり、笑い話の原則にしたがって、緊張と緩和になり、皆で「ハハハハハ」と笑い飛ばせるようになるでしょう。皆でその日を作りましょう。



(注1:ブロークンイングリシュ)

前回のエントリーから、このブロークンイングリシュなる言葉を使っています。最近、日本の英語関連のサイトめぐりをしていて、目にしましたが、その時に妙に懐かしい言葉だなと思いました。

なぜ懐かしいのか考えてみたら、こちらアメリカではBroken Englishなる言葉は殆ど出て来ないからです。

多少話す語順が違っていても、発音が変でもそれはその人の個性から出た言葉であって、Brokenなどと言うのは、その個性の尊厳に対する冒涜だということのようです。話し言葉では、リズムや機敏性が求められます。語順入れ替えや発音の変化はしょっちゅうです。むしろそれで会話を楽しんでいるところもあります。

ブロークンイングリッシュを気にするのは、日本人だけかもしれませんね。

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コメント
この記事へのコメント
いちろうさん、久しぶりです。
私も朱雀の落語が大好きです。彼の表現がいいですね。
さて、「まず英語を話し始める」ことが大切ですね。そして、「最初はブロークンでいい・・」、って今でもブロークンのままですが。
日本の英語教育が、読み書き中心なのは、英語の文献で知識を吸収することが多いからと思っておりましたが、教育する側の事情もあったんでしょうね。つまり、その方が評価しやすいという。
もうひとつ、色んな国へ行って気づくのは、テレビで英語の番組をその国の言葉に吹き変えて放送しているところは、大概英語がしゃべれないですね。
2008/10/25(土) 18:16:09 | URL | 英さん #-[ 編集]
英さん
お久しぶりです。コメント、ありがとうございます。

当方は35歳過ぎまで、英語は全く話せませんでしたので、余計こういうことを感じます。こういうことが、もう少し早く分かっていれば、とつくづく思う次第です。

桂枝雀は、CDも持っています。最近はネットでも(YouTube)手軽に見れますよね。
2008/10/26(日) 16:45:46 | URL | いちろう #AtOU8eDY[ 編集]
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