アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
世界同時不況にみる日本とアメリカの経済界、政界の違い―――個の国アメリカには無い「経済連」と「党議拘束」
サブプライム問題を端に発した世界金融恐慌の問題は、自動車のビッグ3救済問題に焦点が移っています。

アメリカのビッグ3各社の売り上げが激減。裾野の広い自動車産業のため、政府を巻き込んでその救済をどうするか毎日メディアをにぎわせています。政府の支援策の政策決定、議会での折衝、自動車各社の人員合理化、地元の反応等、毎日ニュースには事欠きません。

おりしも、日本でも車の売り上げの激減に見舞われており、工場の操業停止、人員の整理、と同じような対応を迫られています。

アメリカと日本、同時発生の経済不況。我々の草の根レベルに伝わってくる、ニュースの内容が同じかというとそうでもありません。やはりその国の文化の違いが現れてきます。その違いを見てみましょう。
「経済連」が無い

ビッグ3の首脳が揃って、ワシントンに出かけて14 bill$の救済法案の要請をしました。一回目の議会の要請で自家用ジェットで出かけて顰蹙を買ったという、あれです。ともあれ、ビッグ3の首脳が揃って議会に出席。救済を要請したわけです。

アメリカでも政.官.財と分かれており、色々と影響を与えあっています。財界(経済界)の政界へのロビー活動はよく聞く話です。

しかし、日本で聞くがアメリカにいて聞かないものに、「経済連」があります。広大な裾野の自動車産業の苦境。さぞかし経営者団体も気をもんで政治的な圧力をかけているのでは、と日本人の当方は思うのですが、こちらでは全くニュースとして伝わってきていません。

アメリカ人は日本人と違いあまり“徒党”を組まないのでしょうか。そういえば、地方レベルでもこちらアメリカでは、日本にあるような経営者団体はありません。日本でいえば「XX工業団地経営者連絡会」みたいなものです。日本では、地方レベルでもこういう会があり、定期に情報連絡会を開いたり、視察旅行に出かけたりしていますよね。

それがこちらでは全くありません。当方のいる会社は、ルイビルの西地区にある工業団地のなかにあり、数十社の会社が集まっています。しかしそうした類の集いはありません。一分野だけ、総務関係の担当者の連絡会があるだけで、経営者関連の連絡会はありません。

日本人が色々組織化したがるのは古今東西からか、アメリカでも各地区に日本人会があり活動をしています。我々ルイビル地区にもあります。アメリカ人が日本でこういう会を作っているというのは聞いたことがありませんね。

そういえば、こちらではコミュニティーもあっさりしたもので、日本で必ずある隣保班の組織は皆無です。

このあっさりした経営者間の関係が、国レベルでも同じ状態なのか、いわゆる「経済連」なる組織は余りニュースに登場しません。日本であれば、自動車産業がここまでピンチに陥れば、当然経済連会長の記者会見があったり、首相に面会して陳情したりの活動は行うと思います。それがこちらでは全くありません。

ここにも、個の国、独立独歩の国アメリカを感じます。

政党の「党議拘束」も無い

“政”の方でも独立独歩の考えが闊歩しています。

今回の恐慌の最初の700 bill$の金融関連の救済案の時もそうでしたが、議会がなかなかまとまらず可決されませんでした。この時には二回目でやっとあとまり可決に至った次第。今の自動車会社救済案は、未だに迷走しています(12-12-‘08現在)。

これは、民主党と共和党の政党間では合意に至っているようですが、各党の中で反対者がいることによります。

最初の金融関連の救済案では、こちらルイビルとインディアナ南部の議員間(9人)でも最終的に賛否が割れて、4人が賛成、5人が反対でした。その反対の5人は、共和党、民主党それぞれいました。

この時にも、政党としては両方とも救済やむなしという事だったようですが、こちらでは党議拘束はないのか、議員はそれぞれ自分の主張にしたがって賛否を決めているようです。

今の自動車会社救済法案も同じで、政府.共和党と民主党との間で合意が出来ていたのですが、議員(今回は主として共和党)の合意が得られずに迷走しています。

日本の国会では、郵政民営化の時に一旦は否決されましたが、その後解散総選挙の時に自民党が公認見直しにより郵政賛成派を立てて戦い圧勝。その後の議決でも党議拘束で一糸乱れぬ対応をとり、可決しました。これは、まれにしかない“反乱”でしたが、通常の国会の議決は殆ど与野党とも配下の議員を党議拘束して、予想通りの議決になります。

ところがアメリカでは、議員は地元有権者の方を向いており、中央の政党の言うことはあまり聞かないようです。これは、州の権限が強いアメリカの政治システムにもよりますが、個の国アメリカだからでしょうか。

そういえば、こちらの政党内でも“XX派”や“XXグループ”というのは余り聞かないですね。


先日のテレビのニュースで、今回の自動車会社救済について議員たちが討論会を行っていました。司会者が「自動会社の破綻は、300万人の人たちに影響を及ぼす重大な問題ですよね」と、ある議員に振ったら、その議員は「2億9千7百万人の人々の税金をそんな物に使うわけにはいかない(アメリカの人口は3億人)」とすぐさま反論していました。

日本人からみると、「ああ言えばこう言う」で理屈を振り回す輩だ、という気がしないでもありませんが、こういう「空気に流されない」気概の人が多いのが、アメリカの財界文化や政党文化の特徴になっているのでしょうか。



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