アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
英語の語彙やフレーズの運用力のアップ法-------柔らかな日本語と固い信念で
当方がいつも訪問するブログのYYTさんから質問がありました。

「英語の語彙力やフレーズの応用力をつけるにはどうしていますか?」と。

YYTさん程の英語の達人へ、当方がご教示するということは穴があったら入りたいくらいで恐縮至極ですが、それでも毎日英語現場にいて仕事や生活で生き抜いている当方ですので、多少は参考になるところもあるかもしれません。それを披露したいと思います(注1)。

ここに上げたものは、語彙やフレーズを増やす方法というよりも、実会話の場で語彙やフレーズを滞りなくどう繰り出していくかの方法です。

尚、当方の語彙力は日向さんのブログでの診断によると約4,000~5,000語位のようです。英検準一級、一級の方で約8,000~10,000語という説があるようですので、このブログ訪問者の中には当方より上級者の方が多いと思いますが、本エントリーは英語現場の会話の切り抜け方法として参考になるかと思います。

そのエッセンスとしては、①簡単な語彙(英語)での会話の組み立て、②短いフレーズの駆使等巷で言われていることもありますが、今回は以下のエッセンスを取り上げて説明したいと思います。

1.日本語から英語への変換は、難解日本語対訳よりも簡易日本語意訳を(柔らかな日本語で)。
2.「俺の英語が分からないか!」の固い信念を持つ事。

日本語から英語への変換は、難解日本語対訳よりも簡易日本語意訳を(柔らかな日本語で)

世には「日本語で考えるな!英語で考えよ!」という事を説く方もいますが、当方はいまだにこの説が具現できていません(これは、ある種の組み立てが必要な会話内容で言えることで、挨拶や繫ぎのフレーズ、定型の会話文は日本語でも英語でも考えずに、カードをシャッフルして繰り出す如く、無意識には出てきます)。

よって、何か内容を組み立てる必要のある会話の場合は日本語--->英語変換のプロセスを踏みます。その時の日本語の選定が、語彙やフレーズを滞りなく繰り出す時のポイントのようです。以下の参考事例で問題提起をします。



日本では、オバマ大統領のスピーチがすごい人気で英語教材にも使われているようです。しかし地元アメリカではそれ程でもなく、時々オバマスピーチNG集も放映されています。クリントンとの指名争いの時から、難問ディベートの時には話が詰まる事も多く「ウー。うううう。アー、エー、ムー....」といったテープも時々流れてきます(この事例は、特にオバマには含みはありませんが参考として当方が取り上げました)。


これの感想として、「オバマは神格化されすぎているよね」と英語で言いたいとします。

ここではたと困ります。「し、神格化....????なんていう単語だったろうか?」。ここでおそらく、沈黙数分。会話として成り立ちません。

後で調べると”Deification(神格化)”とあります。不勉強な当方には見た事も聞いたことも無い単語です。今分かっても、この先覚え切れるかどうかも自信がありません。又この”Deification”をどう使えばいいのか考え込みます。”Deify”が動詞だから、

“His speeches are deified as an example of excellent speech.”

とでもするのかいなぁ...硬い日本語が浮かんだ天罰が下りました。

しかし、以下の日本語ではどうでしょうか?

「オバマは、かいかぶられ過ぎだよね」
「オバマは、評価が高すぎだよね」
「オバマは良く見られすぎだよね」

「かいかぶり」位までは表現としてやや硬く、一瞬では英語が浮かんできませんが、「評価が高い」、「良く見る」あたりの柔らかい日本語であればなんとなく以下が浮かんできます。

“….evaluated highly….”
“….seen so well…….”

厳密にいうと、これらの日本語は意味が少しずつ違いますが、英語に変換された英語会話の場では問題なく受容されます。完全な対訳ではないかもしれませんが、意訳ともいうべきものです。柔らかな日本語の方が、英語の語彙やフレーズを滞りなく繰り出せている訳です。

語彙力を追及する人にとっては、この“….seen so well…….”などというありふれた単語は不満かもしれませんが、実はこの”..see..”は英語現場では一番よく聞く表現です。

“Did you see how Obama’s speeches are good?”
“Please see if his speeches are attractive, or not.”

これらはビジネスの現場やコミュニティでも一番聞く表現です。苦労して詰まりながらも”Deification”と言っても、相手の英語圏人からは“???”とされるのがオチで補足説明が必要でしょう。今度はその補足説明が出来ないと、更に会話が手詰まりになってきます。

英検一級やToeic高得点の人達の一部の様に(ほんの一部だと思いたい)、難しい単語は知っているが実際の会話は苦労するということになります。

当方は英語圏で長く暮らし大分慣れたとはいえ、「英語の前に美しい日本語を身につけなさい」と言った先の文部大臣の教えを受けて35歳まで英語を話しませんでしたので(苦笑)、どうしても硬い日本語が先に浮かんできます。以下に当方が苦労した、会話がスムースにいかない語彙を挙げて、硬い日本語(対訳)~柔らかな日本語(意訳)の比較集を作りました。

硬い日本語(対訳)---------------------柔らかな日本語(意訳)
卑下(Humility)-----------低く評価する事(Underestimate)
謙遜(Modest)------------------控えめ(Down play)
著名な(Eminent)-------------有名な(Famouse)
領域(Realm)---------------------範囲(Area)
治療法(Remedy)---------------直す方法(Way to care)
厳粛な(Solemn)----------------まじめで静か(Honest and Quiet)
偏見(Prejudice)----------かたよった見解(Unfair opinion)
天職(Vocation)-------------生まれつきの仕事(Job in born)
武骨な(Rustic)---------------洗練されていない(Not sophisticated)
洞察力(Insight)------------深い考え(Deep thinking)
直感(Intuition)----------本能的な考え(Instinct idea)
矛盾する(Contradict)--理に合わない(Unreasonable)
手のこんだ(Elaborate)--複雑な(Complicate)
信心深い(Pious)-----------------深い宗教的考え(Deep idea of religion)
既存の(Incumbent)--------今の(Current)
揶揄(Banter)--------------------皮肉(Irony)

繰り返しになりますが、右側の変換は完全な逐語訳とはなっていませんが、なんとなくイメージが湧いてくる変換になっていると思います。要は、柔らかな日本語を思い浮かべながら、語彙やフレーズを変換運用していくということに尽きます。

「俺の英語が分からないか!」の固い信念を持つ事

このブログのテーマになっている感がしますが、英語という言語は“押し出し”の言語です。英語を話す時の姿勢が全く日本語と違います。

何かと英語を品定めの道具に使う日本人と違い、ネイティブにとって英語はコミュニケーションの道具でしかありません。多少違った(間違った)表現であれ、まず意思を通い合わそうというのがこちらの人の第一意です。

そのためには妙な謙遜は要りません。これは意思伝達の邪魔になれこそ益にはなりません。そんな謙遜は、意思伝達を阻害します。これを取り払い、「俺の英語が分からないか!」の固い信念を持つ事が大事です。

冒頭((注1)の、

『YYTさん程の英語の達人へ、当方がご教示するということは穴があったら入りたいくらいで恐縮至極ですが、それでも毎日英語現場にいて仕事や生活で生き抜いている当方ですので、多少は参考になるところもあるかもしれません。それを披露したいと思います(注1)。』

という紹介文は、

『YYTさん程の英語の達人へ、当方がご教示するということは非常に光栄です。こちらで得たすばらしい経験を紹介したいと思います。大いに参考になるでしょう。期待してください』

位に遠慮なく書いておくのが、正しい英語に接する方法でしょうね。この精神モードになれば、大抵の語彙やフレーズはスムースに変換運用できます。



大分前になりますが、日本から親会社の幹部が来て訓話をたれました。その内容は、

「大変な大不況だが、背水の陣で、ふんどしを締めて、愚直に取り組もう」

というものでした。まさに通訳泣かせの硬い表現のオンパレードですね。固い信念の出来上がった皆さんには、あとは柔らかい日本語~英語への変換をして語彙やフレーズの運用力をアップするだけですので、難しくは無いと思いますが...

 




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コメント
この記事へのコメント
ダンケルク
いちろうさんへ

YYTです。

素晴らしいブログ記事を書いていただきありがとうございます。

「大変な大不況だが、背水の陣で、ふんどしを締めて、愚直に取り組もう」

Now, we have great recession. It seems that we are in Dunkirk. Therefore, we need double efforts. And, as I always told you, let's do the job honestly and sincerely.

Dunkirk:ダンケルク(Dunkerque)
2009/05/23(土) 15:27:52 | URL | YYT #NLJharc2[ 編集]
Re: ダンケルク
YYTさん、コメントありがとうございます。


> 「大変な大不況だが、背水の陣で、ふんどしを締めて、愚直に取り組もう」
>
> Now, we have great recession. It seems that we are in Dunkirk. Therefore, we need double efforts. And, as I always told you, let's do the job honestly and sincerely.
>
> Dunkirk:ダンケルク(Dunkerque)

以前も、同じ様な事例のものを訳して頂いたことがありましたね。どうしても我々日本人は、諺や四文字熟語的な硬い日本語をまず思い浮かべますよね。それが英語変換の時に障害になっているのでしょうね。

名訳ありがとうございました。
2009/05/24(日) 15:14:40 | URL | いちろう #-[ 編集]
初めまして!
えいみさんのブログ(独学で英語の達人)でいちろうさんのコメントを読んだ者です。読んだ時に「ああ!私と同じ意見だ!」と思いました。

ブログを少し拝見させて頂きましたが、まさに私が知りたい、教えてほしい内容ばかりでとてもおもしろく、これからも残りをじっくり読みます!

この記事で書いていらっしゃることも私が常々思っていることではあるのですが、柔らかい日本語に変換するのが私にとってはまだ難しいんです。この変換をスムーズにするにはやはり練習しかないのでしょうか・・・

例えば「いちろうさんのコメントを読んで目から鱗でした」だと、「目から鱗・・・?」「何と訳す?」とタイムラグがあります。

いちろうさんが書いてらっしゃるように、ある程度内容がある会話をするときはやはり日本語→英語でしか組立られないのでしょうか?いくら練習を積んでも英語→英語にはならないのでしょうか?英語脳ってできないものなのでしょうか?・・・などと疑問はつきません・・・

これからも楽しみに読ませていただきます!よろしくお願いします。

2009/05/25(月) 04:30:39 | URL | Akiko #-[ 編集]
Re: 初めまして!
Akikoさん、コメントありがとうございます。

> この記事で書いていらっしゃることも私が常々思っていることではあるのですが、柔らかい日本語に変換するのが私にとってはまだ難しいんです。この変換をスムーズにするにはやはり練習しかないのでしょうか・・・
>
> 例えば「いちろうさんのコメントを読んで目から鱗でした」だと、「目から鱗・・・?」「何と訳す?」とタイムラグがあります。


柔らかい日本語の選定は、やはり場馴れが必要ですが、それでもこういうことも役立ちますよという情報共有も必要だと思います。即ち、英語学習者の考え方を大きく変えることが必要だと思います。これは、今の日本での英語教育では盲点になっているようですので。

この「目からうろこも」、すぐ「故事ことわざは何だっけ?」と急ぐのではなく、以下に考えたらどうでしょうか?

「目からうろこ」というのは、ある納得した状態ですから、

(硬い表現から挙げると)

目からうろこ
得心する
納得する
確信する
理解する
で、あるか(司馬遼太郎の織田信長)
わっかるわっかる(桂枝雀落語の定番)

と、細かい事はさておき上記の表現が考えられます。この中で柔らかいほうをとると、


「わっかるわっかる」

を採用すると、”I understand it"です。日本語からすると少し意味が違いますが、英語でやり取りするとこれでも話は通じます。

"While I read Ichiro's comment, I understand it."

故事ことわざ辞典を調べると、この「目からうろこ」は"...Scales fall from my eyes."です。何万語も語彙力のある人はこれを採用するのでしょうが、これをネイティブに言った所で、”???”となるでしょう。そこで又、言い換えの必要が出てきて、結局は”That means I understand his opinion."位に収束するでしょう。

英語というのは、禅問答みたいなことは無くすべからく具体事象の説明です。「我こう論述する」と言ってもすぐその後で、「..which means 私はこう話します」と言い換えなければならない世界です。であるならば、頭が真っ白になる難しい表現より、柔らかな表現を使ったほうがスムースに行くと当方は思います。

2009/05/25(月) 15:02:27 | URL | いちろう #-[ 編集]
目の前の霧が晴れるように・・・
目から鱗:
何かがきっかけとなり、急に視野が開けて、物事の実態が理解できるようになることのたとえ。

原典:
http://gogen-allguide.com/me/mekarauroko.html

ということは、目の前の霧が晴れるように、物事を急に理解できるようになった、とイメージングすることができます。

Now, I have a clear vision. It seems like all of sudden the mist around me vanished.

#上記の英語が完璧だと言いませんが、まず拙くとも口に出してしまうと、話し相手からよいフォローも入るかも知れません。

いちろうさんは柔らかな日本語と表現されましたが、それをイメージや映像と言い換えてもいいかも知れません。

ことわざや熟語にとらわれすぎないことが大事なのだとおもいます。

私が「背水の陣」を「It seems that we are in Dunkirk.」としたのも、欧米人にとってダンケルクの戦いが「背水の陣」をイメージしてもらうのに都合がいいとおもったからです。(実際、連合軍はダンケルクから上手に撤退することにより、最後には勝利を得ることができたわけだし)
2009/05/26(火) 19:13:34 | URL | YYT #NLJharc2[ 編集]
Re: 目の前の霧が晴れるように・・・
YYTさん、コメントありがとうございます。

> Now, I have a clear vision. It seems like all of sudden the mist around me vanished.


そうですね、”Clear"というのはこちらでよく使いますね。”It makes clear me."等良く聞きます。それから”Make sense"もありますね。”It makes sense me."等よく使います。エントリーの主題が、如何に柔らかい日本語を使うか、にありましたので欠落していました。

ご指摘ありがとうございました。
2009/05/27(水) 13:41:27 | URL | いちろう #-[ 編集]
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