アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
文化摩擦になりかねないマイペースとマイコースの処世観----“Do you want me to do?”
マイペースとマイコース。日本とアメリカの処世観の違いです。当然、この考えは文化の礎である言語にも現れてきます(卵が先か、鶏が先か?はありますが)。

こちらで、この処世観の違いを一番感じるフレーズないしは文型は、

“Do you want me to do this(わたしに、これをしてもらいたいのですか)?”
“I want you to do this. (あなたに、それをしてもらいたいのです)”

で、”want”や”need”を使った、第五文型に当たる用例です(おお、なんということだ。文法解釈が出てきたぞ)。

この「わたしに、これをしてもらいたいのですか」、「あなたに、それをしてもらいたいのです」という文型は、英語圏では当然の用法で、しょっちゅう出てきますが、日本人にとっては英語の文法では知っているものの、なかなか馴染めないものです。職場等であまり多用されると、ムッと来る可能性のある言葉です。いわゆる文化摩擦というヤツです。
非暗黙知の世界

これらの用法をもう少しまとめて、挙げてみましょう。

“Do you want me to enter the data into the system(私にデータ入力をしてもらいたいのですか)?”
“I want you to modify this machine first(あなたにこの機械の改修をやってもらいたいのです).”
“I need you to move it first(あなたはそれを最初に動かす必要があります).”
“What do you want me to do(あなたは私に何をやってもらいたいのですか)?”

私は他人とは違う」、「私は私の仕事がある」、いわゆるマイコースの価値観の強いアメリカでは、上記の様な表現はごく普通に使います。ビジネスの場ではトップダウンのスタイルが発達している事も加味されて、上記のような表現になります。

これを、集団としての暗黙知を必要とされる日本の企業社会から見ると少しイライラしてきます。いわゆる文化摩擦です。

「“私にデータ入力...”?次のプロセスはデータ入力だろうが!お前しかいないだろ!」
「“あなたにこの機械の改修...”言われなくても分かっていますよ。そんなに信用していないのですか??」
「“あなたはそれを最初に動かす必要....”優先順位は言われなくても分かっています!」
「“あなたは私に何をやってもらいたいのですか?”って、受身の姿勢だろ!仕事に積極性が足りないぞ、それでは!」

他の人と同じコースを歩むという概念の発達した日本の企業文化から見ると、不満が爆発しそうです。アメリカに進出している企業では、多かれ少なかれ経験する事です。

車の修理サービスでも

先日、当方は車のタイヤがパンクしたので修理工場に持って行きました。タイヤのパンクの修理と同時に、タイヤのローテーションも時期が来ています。そこで当方は、

“After repairing the flat tire, I want you guys to rotate all four tires.”

と、細かく依頼しました。日本であれば修理工場のサービスマンと、

「タイヤのローテーションもしておきましょうか?」
「みんなやっているから、やってもらおうか」

と問答があるところですね。

ところがマイコースのアメリカ。車検制度もありません。自分の車は自分の責任で整備して乗るというお国柄。タイヤのローテーションも費用がかかり、他人はどうであれそんな費用はゴメンだという人もいます。よって、タイヤのローテーションが必要な場合は、このように細かく指示をしないとやってくれません。当方もアメリカナイズされてしまいました。



さてさて、私はこのエントリーを通してあなた(読者の皆さん)に、「マイペースとマイコースの処世観の違いが言語にも現れて、時に文化摩擦を起こしがちだ」ということを理解してもらいたいのです。

「余計なお世話だ!!」といわずにまた訪問してくださいね(アメリカ人になれない日本人からのフォローです)。


スポンサーサイト

テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

コメント
この記事へのコメント
こんにちは、いちろうさん!
今日の記事(いつもですが)、すごく面白かったです~。

私は、いちろうさんにマイペースとマイコースの違いが、文化摩擦まで起こしかねないということをしっかりと学ばされましたよ~♪
2009/07/23(木) 18:31:39 | URL | Nemo #6jn2IUrI[ 編集]
Re: タイトルなし
Nemoさん、コメントありがとうございます。

> 私は、いちろうさんにマイペースとマイコースの違いが、文化摩擦まで起こしかねないということをしっかりと学ばされましたよ~♪

当方もNemoさんに気に言っていただいて光栄です。

考えてみると、Beatlesも(解散前も)4人のメンバーがそれぞれの道を行って、作品を作っていたのですよね。これもマイコースのテンケイ事例だと思いますね。

2009/07/24(金) 13:26:53 | URL | いちろう #-[ 編集]
>「余計なお世話だ!!」といわずにまた訪問してくださいね(アメリカ人になれない日本人からのフォローです)。
毎度、オチまでビシっと鋭いですねえ!
実は私もタイヤのローテーションと交換をしつこく指示しながらやってきたところです(TT)←車のことはお任せしたい……
仕事の範囲分けがしっかりしすぎていて、隙間があることも多いですよね。
2009/07/24(金) 14:31:30 | URL | うろこ #-[ 編集]
Re: タイトルなし
うろこさん、こめんとありがとうございます。


> 実は私もタイヤのローテーションと交換をしつこく指示しながらやってきたところです(TT)←車のことはお任せしたい……
> 仕事の範囲分けがしっかりしすぎていて、隙間があることも多いですよね。


そうですね。アメリカのサービス産業は,,,(なぜかため息)。隙間としつこさがありますねぇ。普通に一般企業でもCustomer satisfactionの考えがありますが、ここにもカスタマーとサービス提供者は別の道ですね。マイペースとマイコースが表われています。。
2009/07/25(土) 13:21:37 | URL | いちろう #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック