アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
英語をスムースに切り出すには-----コンテクストのコンセプトをコンビンスする
今週のある朝の事でした。当方の会社のBreak Room(休憩室、食堂。壊れているわけではありません)で、コーヒーを飲もうとコーヒーサーバー(コンピュータサーバーに較べ毎日快調です)に近づいた所、JohnとMaryがその前で談笑中でコーヒーが取れませんでした。当方が彼らに「コーヒー、(取りたいけど)いいですか?」と聞こうと思い、発した言葉が、

Ichiro : “Can I have coffee?”

でした。コーヒーを注ぎ終わった瞬間、「オッ。これっていうのは、日本語のハイコンテクストと英語のローコンテクストの違いが現れた表現だな」、と実感しました。

この違いを論証した説は沢山あり、英語への取り組みにおいて参考になる説が並べられています(下段:注)。

今回は、それを実例を挙げて紹介すると同時に、当方の新説(?)かもしれませんが、英語にもハイコンテクスト表現があり、これが英語にリズムをもたらしているのだということも紹介したいと思います。
HJ(ハイコンテクストな日本語)-->LJ(ローコンテクスト日本語)-->LE(ローコンテクスト英語)への変換

これを、上記のBreak Rommのコーヒーの例で、HJ(ハイコンテクストな日本語)、LJ(ローコンテクスト日本語)、LE(ローコンテクスト英語)、HE(ハイコンテクストな英語)毎に表現をしてみると以下のようになります。

HJ : 「コーヒ-、いいですか?」
LJ : 「私はコーヒーを得られますか?」
LE : “Can I have coffee?”
HE : ”Coffee, OK?”

(注)
HJ : High contextual Japanese
LJ : Low contextual Japanese
LE : Low contextual English
HE : High contextual English


まずこのケース、多くの日本人は「コーヒ-、いいですか?」という主語のはっきりしないハイコンテクストな日本語の文章(以下HJ)を思いつきます。わざわざ主語の「私は...」とか四角四面には考えないものです。ところが英語にする時にこれが邪魔して、咄嗟になんと切り出してよいのか分からなくなります。

この時に会話訓練を積んだ人は、主語が「私は」で動詞が「得られる」で....と「私はコーヒーを得られますか?」という四角四面の、いわゆるローコンテクストの日本語(以下LJ)の文章を考え付きます。

そこで、それをそのまま訳し“Can I have coffee?”というローコンテクストな英語(以下LE)が出来上がるわけです。このように、HJ—>LJ—>LEの流れで英語に変換され、英語が発せられるわけです。この流れを理解して、訓練した人がスムースな英会話が出来るわけですが、多くの場合、このHJ(ハイコンテクストな日本語)が邪魔をして、英語がスムースに出てこない訳です。

HE(ハイコンテクストな英語)

ところが、よく注意してみると英語の中にもハイコンテクストな言葉(HE)があります。(Metaphorも定義の中に入るかもしれませんが、今回は簡単に)主語等の省略です。上記のコーヒーの例で言うと、“Can I have coffee?”の代わりに ”Coffee, OK?”と言う所のものです。

日本に多い“英語文法原理主義者”には信じられないかもしれませんが、こちらではこういう用法はしょっちゅうです。

同じく今週の事でした。毎日ある定例の会議。その日はその会議は休みのようです。中小企業の哀しき当方の会社。会議変更案内が事前に流れるなんて事はありません。みんな人づてに聞き込んできます。そこでくだんのMaryが会議主催者のBenの所に行って、

”No meeting today, right?”

と確認に来ました。これはLE(ローコンテクスト英語)では、“We don’t have the meeting, right?”とすべき所でしょうが、まさしくここのところは日本語の「今日は会議、無いね?」と同じハイコンテクストな言葉になっています。これを、もう一度“会議”の例で紹介します。

HJ : 「今日は会議、無いね?」
LJ : 「私達は今日会議がありませんね?」
LE : “We don’t have the meeting, right?”
HE : ”No meeting today, right?”

英語が英語らしくなるのは、この最後のHE(ハイコンテクスト英語)が効果的に出てくるからです(こればかりだと、“英語文法原理主義者”からストリートイングリッシュだと忌み嫌われますが...)。なんでも文法通りにいけば良いというものでもありません。

又、日本語から英語をスムースに引き出すには、このHEを効果的に使う事です。この場合はハイコンテクスト英語ですので、ハイコンテクスト--->ローコンテクストへの変換なしに、ハイコンテクストな日本語から英語へすばやく変換できます。

日本人の英語の学者が英語圏に来て、パーティや食事の会話についていけない(“この程度の英語力”の当方も、当然の事ながらついていけないですが)という原因の一つに、このHE(ハイテクスト英語)の存在があると思います。主語等の省略が出てくると途端に、話の流れが掴めなくなります。

英語をスムースに切り出すには

これから言える事は、英語をスムースに切り出すポイントは、

1.HJ(ハイコンテクストな日本語)-->LJ(ローコンテクスト日本語)を瞬時に行い、LE(ローコンテクスト英語)への変換を行う。
2.HE(ハイテクスト英語)を体系的に理解し、それを効果的に切り出す。

以下に、主にビジネスの場でのHJ(ハイコンテクストな日本語)、LJ(ローコンテクスト日本語)、LE(ローコンテクスト英語)、HE(ハイコンテクストな英語)毎の表現例を作成掲載してみました。



本エントリーの法則にかかれば、なんでもすばやく英語が切り出せます。本タイトルのアヤシイ日本語の「コンテクストのコンセプトをコンビンスする」も簡単です。”I am very convinced of this theory.”もしくは”I’m OK for it.”です。

(表現例)

質問系

HJ : 「コーヒ-、いいですか?」
LJ : 「私はコーヒーを得られますか?」
LE : “Can I have coffee?”
HE : ”Coffee, OK?”

HJ : 「今日は会議、無いね?」
LJ : 「私達は今日会議がありませんね?」
LE : “We don’t have the meeting, right?”
HE : ”No meeting today, right?”

HJ : 「仕事、終わった?」
LJ : 「貴方は仕事を終了しましたか?」
LE : “Did you finish your job?”
HE : ”Finished job?”

HJ : 「モノ、出た?」
LJ : 「貴方は製品を出荷しましたか?」
LE : “Did you ship the products?”
HE : ”Shipped the products?”

HJ : 「出来そうにない?」
LJ : 「貴方はこれが出来ると思わないですか?」
LE : “You don’t think you can do this?”
HE : ”No way to do?”


HJ : 「課長、どちらのお客さんを先にします?」
LJ : 「貴方はどちらのお客さんを先に訪ねたらよいと思うか?」
LE : “Which customer do you think we have to visit?”
HE : ”Which, first?”

HJ : 「来月の売り上げはどうだろうね?」
LJ : 「貴方は来月の売り上げについてどう(何を)思うか?」
LE : “What do you think about sales for next month ?”
HE : ”See how are the sales for next month?”


依頼、宣言系

HJ : 「次、これやってね」
LJ : 「貴方は次にこれをやる必要があります」
LE : “You should do next.”
HE : ”This one next, please.”

HJ : 「これ直しといて」
LJ : 「貴方はこれをなおしていただけるでしょうか?」
LE : “Could you please fix this?”
HE : ”Fix this, please.”

HJ : 「良くないね」
LJ : 「私は良いとは思わない」
LE : “I don’t think it’s good.”
HE : ”No good.”

HJ : 「それはないだろ」
LJ : 「私はそれが出来るとは思わない」
LE : “I don’t think it can be done.”
HE : ”Can’t be done.”

HJ : 「お久しぶりだね」
LJ : 「貴方と前回会って以来長い時間でした」
LE : “It’s been long time since I met with you”
HE : ”Been long time.”

(下段:注)

*ハイコンテクスト文化

聞き手の能力を期待するあまり下記のような傾向があります。
直接的表現より単純表現や凝った描写を好む
曖昧な表現を好む
多く話さない
論理的飛躍が許される
質疑応答の直接性を重要視しない

*ローコンテクスト文化

話し手の責任が重いため下記のような傾向があります。
直接的で解りやすい表現を好む
言語に対し高い価値と積極的な姿勢を示す
単純でシンプルな理論を好む
明示的な表現を好む
寡黙であることを評価しない
論理的飛躍を好まない
質疑応答では直接的に答える



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コメント
この記事へのコメント
ウフフ、スッキリご説明ありがとうございます!
陸地にあがった船乗りの相棒は、「敢えて」LE を使おうとするので、HE オンリーともいえる島民とコミュニケーションが上手にとれないコトが、往々にしてあるんですよ(島は米領・英語圏ですが)
先日、正確をモットーとする相棒の話が典型的な HE 、かつ長すぎて、役所の担当者が船をこぎ始め、老眼鏡が机に落ちたのを目撃しました。
↑昔、私が島に住んでいたとき、相棒が sponsor になっていて、私が島を出たので取り消しに行ったのです。理由を正確+時間順に述べようとしてどんどん迷宮にはまる相棒に対して、後から似たような案件で来た島の人たちが "Sponsor, no more!" でどんどん処理を進めているのが可笑しくて(でも笑ったら悪いと思って苦しかったです)…。
2009/09/05(土) 15:00:31 | URL | うろこ #-[ 編集]
Re: タイトルなし
うろこさん、今晩は。

> 陸地にあがった船乗りの相棒は、「敢えて」LE を使おうとするので、HE オンリーともいえる島民とコミュニケーションが上手にとれないコトが、往々にしてあるんですよ(島は米領・英語圏ですが)
> 先日、正確をモットーとする相棒の話が典型的な HE 、かつ長すぎて、役所の担当者が船をこぎ始め、老眼鏡が机に落ちたのを目撃しました。


これは、どこでもあることですね。

当方の会社でも、Accounting MgrのLE振りと、社長のHEが面白いです。とうとうと一から説明するAccounting Mgr.に対して、イライラ気味で”Go ahead!"や”So, what?"と話を急がせています。

もっともこれは職種により形成される特徴みたいですね。Accountingは細かく行かないと大変ですし(Engineerも同系統でしょうか)、社長は即断即決が求められますし...

コメントありがとうございました。
2009/09/06(日) 14:17:27 | URL | いちろう #-[ 編集]
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