アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
英語にも、まれにあるハイコンテクスト用法---コミックの会話例から
前回、前々回とコンテクストの問題を取り上げてエントリーしました。即ち、英語は傾向としてローコンテクストになり易く、“その言葉以上でも以下でもない“言い方が多いというものでした。しかしその英語でも、たまにハイコンテクスト用法というものがあり英語初級中級者を悩ましてくれるという事でした。

その英語のハイコンテクスト用法の良いサンプルが見つかりましたので紹介します。こちらで人気の“Dilbert”というコミックの中に掲載されていました。これは「コミックかぁ」と言うなかれ、なかなかSarcasm若しくはIrony(両者の定義が個別にあり厳密には違う物のようですが)が効いた面白いコミックです。なによりビジネス用語も出てきて、我々周辺のビジネス的言い回しの勉強になります。
英語の外した受け答えと論理飛躍

Pointy haired bossという、少しいかれたBoss(上司)が新規採用者のGabeを連れてDilbertのところに紹介に来ました。アメリカの場合殆どが中途採用で、Gabeも前の会社が左前(死語?)になったのでリストラされ、新しくこの会社に採用されました。その紹介の部分です。

Boss----“Gabe was downsized when his last employer had financial troubles. I was lucky to hire him.”
Dilbert—“Because they always downsize their best employees first?”
Dilbert—“Sorry, I didn’t mean to put it in context.”

これを訳すと、

Boss----「ゲイブは、前の会社が不況でリストラにあったよ。わが社は採用出来てラッキーだよ。」
Dilbert—-「というのは、その会社はいつも優秀なヤツからリストラするからでしょ?」
Dilbert—-「おっと、ゴメン。深い意味は無いんです。」

Dilbertの受け答えが、日本で言うキツーイ毒舌というものでしょうか。日本で言うと「ノムラ語録」に出てきそうな会話ですね。

これを見ると、コンテクスト(このエントリーで言うハイコンテクスト)がいかなるものか分かります。ハイコンテクストの定義で言う、①質疑応答の直接性を重要視しない、②論理的飛躍が許される、がちりばめられています。

英語ではこのハイコンテクスト用法が主流で無いのか、すぐに“Sorry, I didn’t mean to put it in context.”と断わりを入れています。

日本でもこういう軽口はよく交わしますよね(最近では閉塞社会、ハイテンション社会になりましたのでこんな軽口はおいそれと叩けないかもしれませんが)。しかも日本語はハイコンテクスト言語。この毒舌の部分が延々と続きます。創作すると以下のようになるでしょうか。

ノムラ部長----「タブチは、前の会社が不況でリストラにあったよ。わが社は採用出来てラッキーだよ。」
ヒロオカ—----「というのは、その会社はいつも優秀なヤツからリストラするからでしょ?」
ノムラ部長---「うちもよくリストラをしているよね...」
ヒロオカ-----「そうそう。うちは優秀じゃないヤツからリストラされて、残っているのは優秀だけどね」
ノムラ部長---「不思議な事に、優秀なヤツが残っても、リストラを何回もやらないといけないんだよね」
ヒロオカ-----「......」

ハイコンテクスト言語の面目躍如でしょうか。ノムラ部長とヒロオカさん、どんどん話しが膨らんでいきます。

アメリカは日本以上にユーモアの精神があり、政治家も盛んにユーモアを飛ばしていますが、この質疑応答性や論理的飛躍でユーモア化しているのは少ないのではないでしょうか。学術的にはよく分かりませんが、当方の身の回りの会話を聞いているとそういう感じがします。


当方の会社で、当方の得意としている話しの“落とし方”があります。少し皮肉を利かせたやり方です。ある作業者がヘマをして、後工程での修正処理が大変になります。その報告を受けた当方が”Thank you very much for making extra jobs!”と揶揄すると、少し他のアメリカ人に受けます。しかし、他のアメリカ人はあまりこの手を使ってはいないようです。このハイコンテクスト。アメリカにもあるにはあるが主流ではなさそうです。




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コメント
この記事へのコメント
いちろうさん、こんばんは
いつも興味深い記事をありがとうございます。
登場人物がノムラ部長とヒロオカさんというところも笑えますが。。。

いちろうさんのおっしゃったセリフも絶妙ですね。
いちろうさんがご一緒にお仕事をしている方を相手になら、
ハイコンテクストを駆使して現地のアメリカ人が受けてくれますが、
気ごころの知れた相手でないと、一歩間違えると摩擦も起きかねないですね。
2009/09/21(月) 00:58:05 | URL | Nemo #6jn2IUrI[ 編集]
Re: タイトルなし
Nemoさん、こんにちは。

> いちろうさんのおっしゃったセリフも絶妙ですね。
> いちろうさんがご一緒にお仕事をしている方を相手になら、
> ハイコンテクストを駆使して現地のアメリカ人が受けてくれますが、
> 気ごころの知れた相手でないと、一歩間違えると摩擦も起きかねないですね。

そうですね。確かにこれは信頼関係がないとギクシャクするでしょうね。一般の英会話でも、文法や発音だけでなく、共通理解がないとスムースにいかないのと同じですね。

慣れ親しんだ日本語でもそうですよね。特に日本語はハイコンテクストで、言外の理やKYを求められるのでなおさら大変ですね。

この、揶揄というかユーモアの日米比較も面白いと思いますが、何しろ生の英語のとっさの切り返しは聞き取りにくく大変です。だんだん分かったところからエントリーしてみたいと思います。

コメントありがとうございました。
2009/09/21(月) 11:13:19 | URL | indianaky #-[ 編集]
Dilbert、ツボにはまってダイスキなのでそれだけでも嬉しいのですが、なんとノムラ部長とヒロオカ氏バージョンになるとは!おみそれしました…(^^)
>こんな軽口はおいそれと叩けないかも
寂しいけれど、そういう雰囲気の場所が増えているのかなあ、と思ったりする今日この頃です。随分無礼なことのようでも笑えるのは、双方にかなりの余裕がないと出来にくいことかも…。
2009/09/24(木) 15:19:13 | URL | うろこ #-[ 編集]
Re: タイトルなし
うろこさん今晩は。

> Dilbert、ツボにはまってダイスキなのでそれだけでも嬉しいのですが、なんとノムラ部長とヒロオカ氏バージョンになるとは!おみそれしました…(^^)
> >こんな軽口はおいそれと叩けないかも
> 寂しいけれど、そういう雰囲気の場所が増えているのかなあ、と思ったりする今日この頃です。随分無礼なことのようでも笑えるのは、双方にかなりの余裕がないと出来にくいことかも…。



Dilbertはなかなか面白いですね。当方のお気に入りです。会社のデスクトップカレンダー、毎週末の新聞のコミック欄、それから書籍も買い込んで見ています。なかなか風刺が効いていて面白いですね。

こちらのコミックは三コマ漫画。日本は四コマ漫画が主流ですが、これも言語のリズムというか成り立ちの違いと関係がありそうですね。これの分析も英語学習の助けになるかもしれませんね。

2009/09/25(金) 13:10:55 | URL | indianaky #-[ 編集]
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