アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
ガラパゴス化する日本企業のマネジメント----Toyotaのリコール対応にみる世界基準マネジメントとの差(追加版――「改善」について)
Toyotaのリコール問題で、前回の“あまりにも日本的な経営手法で成功してきたToyotaにとっては、そのマネジメント手法がかえって独自の進歩を遂げすぎて世界基準からかけ離れてしまっているのではないか、即ちガラパゴス化しているのではないか”の論題の続きです。

今回は、これもToyotaの誇る「改善」についてです。

改善について

「改善」も日本発の優れたマネジメント手法です。これはこちらでも”Kaizen”とそのまま英語にもなっており、製造現場のみならず企業全体のマネジメント手法として知られています。今回の豊田社長の記者会見でも、苦しい時の神頼みなのかトヨタのお家芸の「改善」という言葉を出して、今後の品質向上体制や全社危機管理体制の構築を訴えていました。

しかしアメリカ(英語圏)の製造現場で最近でこそ、この定義が浸透してくるようになりましたが、導入当初はなかなか受け入れられませんでした。

普通改善というと”Improvement”という対訳がありますが、これはアメリカでの理解では一回限りの改良という意味合いが強いようです。日本のマネジメントでの定義は「絶え間ない改良の積み重ね」。もっと突き詰めると、「その活動を通して問題点を持続的自主的に把握、改良していく自律的変革サイクル」ともいうべきものでしょうか。それによりアメリカでこの手法を展開する時に、”Improvement”と訳すのみでは不十分という事で、”Continuous improvement”もしくは”Continual improvement”と訳するようになりました。

生産や操業システムありきのアメリカ社会では、この「持続的な」という部分を理解させるのがどの会社でも大変でした。更に言うと、”Continuous improvement”が定着した今でも、日本の「改善」のプロ達には上記の定義の後段の部分、即ち自立的変革サイクルの部分が抜け落ちているようでまだ不満でしょう。それ位日本的なこだわりのあるマネジメント手法です。ここまでくると、個人の役割、システムでの役割のハッキリしているアメリカ社会一般では、これの理解を得るのはなかなか大変です。

ヨーロッパも同じ文化でしょう。その昔、30年以上前になりますが、ドイツ製の製造機械を見た時にびっくりしました。躯体の部分の外板を溶接で封印していました。日本の機械は外板はねじ止めし、内部機構を修理は勿論、場合によっては改善で能力アップ補強等をするようになっていました。欧米圏では、所定の強度で設計設定されていれば変えることは無い、という思想なのでしょう。

こんな社会に、豊田社長が熱っぽく日本人には素晴らしいと考えられている「改善」を訴えても、なかなか理解しにくいものでしょう。逆に誤解を招く言葉かもしれません。その良い例が、プリウスのブレーキ問題での「改善」です。トヨタではこのブレーキの問題を受けて、生産中の車のブレーキシステムを「改善」しました。これは、昨日より今日、今日より明日と持続的に良くしていくのが日本流の改善で、日本人には受け入れられ易い措置です。

しかしながら「持続的な変革サイクル」の概念の少ないシステム社会のアメリカでは、モデル途中で既存のブレーキシステムを変えるということは、奇異な目に映ったのでしょう。設計設定したシステムをなぜ変えるのか?という疑問があるのでしょう。それにより、現在走行中の車にまで波及、リコールを余儀なくされてしまいました。「改善」手法が理解されなかった事例です。

近々行われるアメリカでの公聴会に、豊田社長は出席せずに(2月8付け、出席を表明)社内の品質や体制「改善」活動の先頭に立つとの発表もなされています。これはこれで日本的には認められるかもしれません。しかしここではアメリカ人としては、Toyotaはどう云うシステムで今まで企業運営して来て、今回何が悪く、これからどうしていこうとしているのか、どうシステムを変えていくのか、が直接聞きたいところでしょう(今朝のラジオで、この地方のコメンテイターがいみじくも言及していました)。この豊田社長の「改善」、アメリカで理解されるかどうか興味津津です。




この「改善」も、日本で進化した日本的生産システムの一つですが、世界基準でいうと進化しすぎて取り残された、即ちガラパゴス化したマネジメント手法のような気がします。







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