アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
「ブロークン英会話教室」のススメ----「たらちね」症候群になっていませんか?
落語の「たらちね」は、言葉が丁寧すぎて起こるこっけい噺です。長屋の八五郎に嫁いできた良家の娘さんの鶴女(つるじょ)が、

「今朝(こんちょう)は、土風(どふう)激しゅうして、小砂(しょうしゃ)眼入(がんにゅう)し、歩行なり難し(現代語訳:今朝は風が激しくて、小さな砂が眼に入り歩きにくかったです。)」

と言って、長屋の大家さんの目を丸くさせたとか。

これに近い事---英語は日本語みたいな、古文や漢文に相当する存在は無い様ですが、教科書英語と実用英語の取り違え---は、英会話学習にも起こります。フランクな肩のこらない会話場面で、妙にリキんだカタい表現を使おうとする事です。学校で習った英語の授業が思い出されるのでしょうか。特に初心者は、このカタい表現にこだわるばかりに、間違い恐怖症により、肝心の英語が出てこないという事が起こります。

「ブロークン英会話教室」の無い、現在日本で起こっている哀しい物語を紐解いて見ましょう。

「たらちね」の鶴女、某駅前英会話教室に入学

さて、今朝は春の嵐で大変でしたが、なんとか鶴女は英会話教室に着きました。英会話の先生も、早速この春の嵐の事で、話を振ります。

(Teacher) “Hi! Tsuru-jyo! How are you doing this morning?”
(鶴女) “Hmmmmm『今朝〔こんちょう〕は如何なる状況なりしかと、問いたて奉るか?』”


とっさに話す英語が見つかりません。頭の中が白くなりそうですが、鶴女は学校で習った英語を思い出し、文章を作ろうと思いをめぐらします。

『「今朝(こんちょう)は、土風(どふう)激しゅうして、小砂(しょうしゃ)眼入(がんにゅう)し、歩行なり難し」故に...』

『かの紅毛碧眼の君(きみ:先生)は、因果関係を表す故に、“接続副詞”の事を問うているに違いなき故....』

『昔日の書物で見た事のある”therefore”を使うてみるや如何に?”consequently”も又、ありや?これ用いて繫ぐ為には、「今朝(こんちょう)は、土風(どふう)激しゅうして、小砂(しょうしゃ)眼入(がんにゅう)し、それゆえ..」の所で、”therefore”で良きかな?』

『「今朝は風が激しくて」は”because “でどうであらう。さすると”Because it was strong wind this morning, I had sand in my eyes. Therefore I hardly walked through.”で文章良きかな?』

(鶴女) “Uhh. Be- Because it was strong wind this morning, I had sand in my eyes. Therefore I hardly walked through.”
(Teacher) “?????????????”

朝の軽快な挨拶で、打てば響くような返答を期待していた先生は、鶴女の沈黙に少しイライラしていました。そうした所に、定型の挨拶抜きに、突然日常会話では場違いな”therefore”が出てきたので、目を白黒です。

まさしく、「たらちね」の世界の再現ですね。

英語初心者は

鶴女は多少教科書英語に造詣が深かったので、時間がかかりながらも、なんとか最後まで答えが出ました。しかし、そこまで行かない英語初心者は、間違いを恐れ、途中で答えに詰まり何も言えないという事態になります。

もしくは、やっと文章が決まり、おそるおそる言おうとして息を吸い込んだ所、教室の先生は、しびれを切らし次の人に話を振るなんていう事態にもなるでしょう。

学校の授業で習った用語や文法を思い出し、それを基に完璧な文章を作ろうとするあまり、すぐには英語が出てこず、結局は会話するチャンスを失う事になります。正に、「たらちね」症候群---本当のたらちねは、出てきた言葉が場違いだったわけですが---の一種です。

「ブロークン英会話教室」では

一方、我が「ブロークン英会話教室」では、英語の間違いや単語の羅列をもって良しとす、のポリシーですの「たらちね」症候群にはなりようがありません。貴方は、「ブロークン英会話教室」に入りました。

(Teacher) “Hi! How are you doing this morning?”
(貴方) “Uh, fine thank you, but trouble.”

(Teacher) “You mean the strong wind?”
(貴方) “Uh, yeah. Hard to walk.”

(Teacher) “You were hard to walk this morning. Why did you think so? ”
(貴方) “Uhh. Because of sand in my eyes.”

(Teacher) “You mean you were blind due to that?”
(貴方) “Uh, yes.”

取り敢えず、上記の様に会話は進んでいきます。貴方がなんらか返答する事により、先生も正規の方法で言い返しながら、会話を進めてくれます。これも上達のポイントとなります。

我が「ブロークン英会話教室」では、皆がまず肩の力を抜き、カタい表現抜きに発話を始めます。それにつれて、先生との会話は進み、生徒も先生のいう事をだんだん真似をするようになり、生徒も上達していきます。


「たらちね」は落語の世界で笑って過ごせますが、日本の英会話教室の「たらちね」症候群は、お金がかかっているだけに笑って過ごすどころではありませんよね。ここは一つ是非「ブロークン英会話教室」---の考え方の世界---に入ってもらいたいと思います。



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テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

コメント
この記事へのコメント
たらちね症候群!なんという粋なネーミング、おなかがヨジレちゃいます(嬉)←落語、好きなのです!

>教室の先生は、しびれを切らし
これは実際にありそうですね。
パソコンが一般的になった現在は、相手の脳みそは外付けハードディスクやインターネット、と考えて(力を借りて)、キーワードをどんどん投げて、言いたい方法を教えてもらう、という方法もありですよね。
相手も会話を一緒に組み立てていくことを楽めるはずですし!(それが出来ない方ならこちらからお断り、もありですし…)
「ブロークン英会話教室」、バンザイです♪
2010/04/11(日) 15:03:50 | URL | うろこ #-[ 編集]
Re: タイトルなし
うろこさん、コメントありがとうございます。

> >教室の先生は、しびれを切らし
> これは実際にありそうですね。

この、「ブロークン英会話教室」は当方の経験を反面教師にして書いています。英会話教室の先生が、しびれを切らしたり、いらいらしたりというのはよく遭遇しました。

当方の英会話教室は、会社主催で無料でしたが、普通の有料英会話教室でDrop Outは生徒の負担ももったいないですよね。又、英会話教室も生徒数減になり、これまたビジネスチャンスを失いますよね。

早く、「ブロークン英会話教室」が一般的になるようにならないでしょうかね。
2010/04/12(月) 13:19:16 | URL | いちろう #-[ 編集]
ブロークンでいいじゃない
はじめまして、ひろです。

落語のお話は知りませんでしたが、
ふと昔のことを思い出しました。

小学生に通っていた塾の先生(英語ぺらぺら)が、

「部分分だけ、アメリカ発音をすると気持ちが悪い」

と言っていました。そんときは、「?」でしたが、

発音が全般的に悪いし、リズムもおかしいのに、「Letter」とかだけ、メッチャアメリカ発音になってたり。

何でそこだけやねん!

ということだったんでしょうね。

今回のお題は、言葉のチョイスですけど、「チョイス」つながりで、発音のことを思い出しました。
2010/04/13(火) 02:45:06 | URL | ひろ #JalddpaA[ 編集]
Re: ブロークンでいいじゃない
ひろさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

ひろさんもHoosierだとか。よろしくお願いいたします。ひろさんのYouTube、それからWeb-siteにも伺いました。「話せる自分に気づく事」、「話したい事を英語で話していけばよい」の部分に特に感銘を受けました。

当方は、「ブロークン英会話教室」のススメで、「2日間でコミュニケーション出来始めます」とぶち上げましたが、ひろさん説では3日間とか。日本からみると驚愕の期間でしょうが、経験者の説はほとんど同じですね。

これからもよろしくお願いいたします。
2010/04/13(火) 13:19:43 | URL | いちろう #-[ 編集]
お久しぶりでございます
たらちね とはまたよくお付けになられたもの と思わずROTFLでございます。
ひょっとして今の若い日本の人たちの中には わからない人が多いかも かも でございますよ。気が置けない と 気を許せない と思っている若者が多いのが 今の日本の現状でございます。
これほど ブロークンではございませんが わたくしも 最初はテキトーにEnglishのススメ というのを書いております。
http://blog.livedoor.jp/lisakworld/archives/50268922.html
最初から あまりに細部に拘りますと 話せなくなりますので レッスンでも最初は正確さより「通じるか」「通じないか」で話していただいたものを判断するよう心がけております。
本当に ひとつの単語だけアメリカ風に発音しても通じるわけもなく かえってばりばりカタカナ発音でも見事に意思疎通ができている場合もあります。
度胸と勇気 これが最初 と思っております。
2010/04/16(金) 23:33:18 | URL | fountainhead #6NxBSyw.[ 編集]
Re: お久しぶりでございます
Fountainheadさん、コメントありがとうございます。

> たらちね とはまたよくお付けになられたもの と思わずROTFLでございます。

> 最初から あまりに細部に拘りますと 話せなくなりますので レッスンでも最初は正確さより「通じるか」「通じないか」で話していただいたものを判断するよう心がけております。

本シリーズは、多少英語初歩の方への啓蒙文になっていますので、ややディフォルメして書いていますが、言わんとするところは、Fountainheadさんも、言われている通りの事です。

とにかく、当方も経験ありますが、英会話を習う時は、通じるか通じないかよりも、細部にこだわりすぎて、”固まって”しまうということはありますよね。

こちらで、諸外国(他アジア系の人々、中南米の人々、非英語圏のヨーロッパの人々)の英語の初心者の話し振りは、”すざましい”ものがあります。即ち、少々の間違いは気にせず喋り捲ります。結局そういう人たちが一番早く上達しています。

これを、わが同胞も見習っていただきたいものですね。
2010/04/17(土) 13:10:35 | URL | いちろう #-[ 編集]
御訪問を賜りましてありがとうございました
>気が置けない と 気を許せない と思っている若者が多いのが 今の日本の現状でございます

あらら ヘンテコリンな日本語になっておりました。

気が置けない を 気を許せない と思っている若者が多いのが 今の日本の現状でございます

と訂正させていだだきます。

ふぁうんてんへっど ブログへの御訪問 と コメント を賜りしまして ありがとうございました。

こちらのお返事でお書きになっていらっしゃいます 諸外国の英語初心者の方々の英語 本当に’すさまじく’ 我が生徒さまたちがそういう方たちと最近急速に発達したテレ・カンをなさる時 たじろがない という 言ってしまえば self-confidence を身につけていただくのに必死の有様でございます。
あちらさんたちの assertive ぶりはすごいですね。まあ わたくしもヒトのことは言えないのですけれど。フランスでは なんでも主張しなければなりません。賛同するなら 何故賛同しているのか聞いてきます。そんな社会学者に若い頃フランス語を習っていたわたしは 英語を話しても どこかしらその影響が出ておりますようでして それが英会話を学ぶ際に有利に働いたことは確かなのです。初心者の頃は 発音も含め フランス人と話しているみたいだ とよく言われておりました。

いちろうさまの「たらちね英会話」(勝手に名前を変えているわたし・・・) これって単純に語学を学ぶということだけではなく その国に育った人の特徴と申しますか 教育 或いは 文化 等も反映しているように感じてとても興味深いものでございます。

英語を喋ることがカッコいい と感じる国民性 と 英語を使ってとにかく 自国のアッピール 自分のアッピールをしたい と感じる国民性の違いがよく表れているような気がしております。
2010/04/18(日) 07:32:00 | URL | fountainhead #6NxBSyw.[ 編集]
Re: 御訪問を賜りましてありがとうございました
Fountainheadさん、再度のコメントありがとうございます。

> こちらのお返事でお書きになっていらっしゃいます 諸外国の英語初心者の方々の英語 本当に’すさまじく’ 我が生徒さまたちがそういう方たちと最近急速に発達したテレ・カンをなさる時 たじろがない という 言ってしまえば self-confidence を身につけていただくのに必死の有様でございます。>

> いちろうさまの「たらちね英会話」(勝手に名前を変えているわたし・・・) これって単純に語学を学ぶということだけではなく その国に育った人の特徴と申しますか 教育 或いは 文化 等も反映しているように感じてとても興味深いものでございます。



確かに、諸外国の英語学習者にとっては、英語習得は学習というよりも”死活問題”ですよね。そういう人たちと、日本の”学習”概念の人たちでは、習得度がものすごく違うでしょうね。当方もこちらで”死活問題”に接して初めて分かりました。

当方の主張が、英語だけではなく文化を言ってるという事があるのであれば、それはやはりそういう経験から来ているのだと思います。”死活問題”にかかわる事柄であれば、英語という学問だけでなく、その背景も理解しなければなりませんものね。


2010/04/18(日) 13:27:17 | URL | いちろう #-[ 編集]
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