アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
「スミマセン、こういう場合は英語で“I’m sorry.”って、言って良いのですか?」-----謝り表現英訳大事典
当方が、よく伺うNemoさんのブログで「卑屈になりすぎ----謝り癖のある日本人...」という白眉のエントリーがありました。

日本で英語を話すと、かなり英語の達者な方でも「すみません」で、“I’m sorry.”と言ってしまいがちだとか。確かに、こちらアメリカではあまり“I’m sorry.”は聞きません。英語でこれをつけすぎると、すこし文化摩擦が生じます---さざなみ程度ですが。これを防ぐ為に、日本人のアヤマリやすい、謝り表現を英語ではどう言うか、英訳事典を作成してみました。

“I’m sorry.”の「スミマセン」

この“I’m sorry.”は、こちらアメリカ中西部の当方の周りでは、殆んど聞かれません。謝らないアメリカ人たる所以でしょうか。以下のケースで耳にするくらいです。

1. 聞き返す場合

相手の言った事が聞き取れずに、「スミマセン(もう一度言ってください)」という時に、どう云うわけか使います。言葉を重視するText社会、アメリカ。相手の言った事が聞き取れなかった場合は、多少罪悪感があるのでしょうか?以下のように使います。

(相手)”Hello! #$$$##%%%$$#@##@#?”
(こちら)”I am sorry. Would you please say again?”

因みに、謝り表現ではありませんが、不幸があった場合のお悔やみの時に、結構これは使われます。これは〈気の毒に思う〉という意味の使用ですね。これは、万国共通で、あまり大きな声でハキハキ言わないようですが...

(こちら) ” I am sorry that I’ve heard you have ……………”
(相手) ”Thank you for coming here ………….”

“Excuse me.” の「スミマセン」

日本人が、多くの場合“I’m sorry.”と混同するケースです。辞書でいう、〈許す、勘弁する〉の意味合いの部分でしょうか。日本でいう、「ごめんよ」や「チョット」位な気分でしょう。これが、丁寧に言おうとして、「スミマセン」になり、その英訳で“I’m sorry.”に転化して、相手の英語圏人との間にさざなみが立ってしまうという事態になるのでしょう。

1. 相手と接触しそうな場合

これは、しょっちゅう聞く言葉です。相手とすれ違う時や、ぶつかりそうになる時によく聞きます。「ごめんなさいよ」位な気分でしょうか。

(こちら) “Excuse me.”
(相手) “OK.”

こちらに、連れがいる時には、当然の事ながら---これがなかなか応用がきかないですが-----“Excuse us.”ですね。

2. 呼び止める場合

これは、「チョット」と呼び止める時にも、同じ言い方です。

3. 異議申し立て的呼び止め。

上記の変化球版ですが、相手の述べた事に対して、異議ありといいたい時の言い方。「ちょっと、あんた!」「あのねぇ!」位な気分。ユーモアや皮肉の入ったやり取りに多く使われます。

(妻)” You didn’t do any honey-do jobs last month because you were very busy……for golfing.”
(夫)“Excuse me!”

4. 席を辞する場合

“Excuse”の正統的用法とも云うべきものです。これは辞書で見ると〈義務や出席、負債などを免除する〉の項になると思いますが、日常良く耳にします。これは、正式な辞し方で卑屈にならずに言えます。

(会議出席予定者) “May I excuse I am leaving the meeting?”

謝らないケース

謝り表現英訳大事典と銘打ちましたが、英訳に現れない、謝らないケースが大部分で、これが本題となります。これは、文化の違いで謝罪感が圧倒的に少ない社会から来ています。以下にそのケースをあげます。

1. “調和”を乱した場合(“世間”を騒がした場合)

謝罪感の違いの基になっていますが、こちらアメリカ社会ではいわゆる“世間”というものはありません---もしくは少なくなっています。基本的に“個”の社会であり—--加えて言うと“個”と神の世界---、他者との係わりは、基本的には法のみになります。

従って、世間を介した係わりというのは基本的にないので、世間の調和を乱した、即ち世間をお騒がせした、という意味での“I’m sorry.”即ち、謝罪はありません。以下の、日本では常套句も、英語の世界では---あまり、というか殆んど---ありません。

(会社社長) 「このたびは、クレーム問題でお騒がせしまして、申し訳ありませんでした」

日本ではこれが進化して、取り敢えず謝るけど責任は認めた訳ではない、というのがありますね。これもどうかと思いますが。


2. “期待”に添えない場合、 “定義”を間違えた場合

これは、Nemoさんのブログにあった事例でしょう。これも、上記の考え方から来ています。「私は私の自分の期待値があり、且つ、私というもの(定義)がある。よって、貴方がどう期待しようが、定義しようがそれは貴方の勝手であり、それに応えていないことに対して、特段責めを負うことは無い」という考え満載です。

3. 具体例として

ビジネスや一般生活で日本なら「申し訳ございません」と言って謝るけど、こちらでは“I’m sorry.”と聞こえない---見えない-----事例を挙げて、簡単に解説を加えておきます

◎見積りを断る場合)---“We regret we have to decline to provide the quote.”と、表現するでしょうか。”regret”は「悔やむ」ですが、これは自分に対して悔やんでいるのであって、相手に対する「すまなさ」はありません。日本なら、「ご期待に沿えず、申し訳ありません」と言う所でしょうか。

◎残業しない場合----これも、定時で退社するのが当然のアメリカ会社文化。アメリカ人が、日本の会社をみたら、「なんで定時退社という、当然の事をするのに謝るの?」と言うでしょうね。もし、チームで動いていて、早く帰らなければならない時は、上記の“May I excuse I am leaving early?”位なものでしょうか。

◎期日通り納品しない場合、不良発生----これら、業務上のトラブルは、「日常あり得る現象で、これに対してどう不良処理をするかが問題で、売買契約に従い処理しましょう」、という気分満載です。よって、謝る事は----基本的には----ありません。上記のいわゆる、お騒がせしました的な謝罪感も当然ありません。

◎機器の不具合、テレビやラジオ放送中の不具合-----これは、”It’s a mechanical problem.”と言って済ませます。当然、アナウンサーが謝る類の話ではない、という事です。

◎店のサービス------「お客様は神様です」というポリシー皆無のお国柄。従業員とお客は対等で、日本のような至れり尽くせりは期待できません。よって“I’m sorry.”は期待できません。

◎工事による交通渋滞------これも「工事による影響が出始めましたが、これも告知の通りです。工事会社と施工主の自治体で決まった契約想定内です」と、言わんばかりです。ある時に、道路工事の予定が大分延び、その影響で数週間渋滞で苦しめられましたが、その時も工事会社からの、”We are sorry.”というのは、当然ながらありませんでした。

◎会社社長、政治家、犯罪者の家族------これも、こちらアメリカでは、いわゆるお騒がせしましたの”I’m sorry.”はありません。本当に、法律に反しているとか嘘をついていたとかが判明した時のみ、謝っています。



さあ、これであなたも、このエントリー標題の、「スミマセン、こういう場合は英語で“I’m sorry.”って、言って良いのですか?」の冒頭の“スミマセン”をどう訳すかお分かりですね。そうです。答えは、①”Excuse me”、②訳さない、でした。スミマセンが、決して“I’m sorry.”言わないように.....


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テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

コメント
この記事へのコメント
さすが、いちろうさん
いちろうさん、こんばんは♪

記事を引用していただきありがとうございました。
いちろうさんの手にかかると日米比較文化論に昇華していて、とても興味深い内容でした。

世間体がない!というのは暮らしやすいには違いないですが、日本にどっぷりつかりきっている私には、どこかそれで安心できることもあります。
“お客様は神様”精神皆無の国...には笑ってしまいましたが、この点は日本に軍配が上がりますね。

楽しくて勉強になる記事をありがとうございました。
2010/04/25(日) 01:07:07 | URL | Nemo #6jn2IUrI[ 編集]
Re: さすが、いちろうさん
Nemoさん、こんにちは。


> 世間体がない!というのは暮らしやすいには違いないですが、日本にどっぷりつかりきっている私には、どこかそれで安心できることもあります。
> “お客様は神様”精神皆無の国...には笑ってしまいましたが、この点は日本に軍配が上がりますね。

”お客様は、神様ではない!”という事例は先日もありました。あるスーパーに行った時の事です。当方は、少量の買い物の予定でしたので、通常の買い物カートでは大きすぎるので、小さなかご(bascket)を探していました。そこにいた、スーパーの人に、

(当方) "You don't have a bascket?"
(店員) "I do not see it. Please use a shopping cart.
(当方) "It's too big. Nobody knows where it is?"
〈店員〉 "Nohpe! You can use the cart."

思わず、こちらがすみません、と言いそうになりました。店員は、そのCart等の準備担当ではなかったのでしょう。「私の管轄ではありません」という気分満載でした。

これになれた、当方が日本に帰ると、最近の日本の顧客サービスは、なんだか恐縮しまくりますね。
2010/04/25(日) 10:43:13 | URL | いちろう #-[ 編集]
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