アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
「”The crew …” えっ、どの乗務員?」----新幹線の英語表示にみる冠詞の違和感
日本の公共場所の英語表示に少し違和感を覚えるのは、いろいろな人からいろいろと報告されています。今回は、当方が今年の初めに日本に行った時に、感じたものを挙げてみたいと思います。

大きな荷物を抱えて新幹線に乗った時の事です。海外からの旅行者が新幹線に乗る時に重宝するのが、各車両の一番後部座席の背もたれの後ろ空間です。大きな荷物を置かせてもらうのにこのスペースは貴重です。

これを見越してか、ここには荷物の注意事項が掲示されています。国際化の進む日本。日本文に英文が併記されています。この中の冠詞の部分に少し違和感を覚えます。


「どの乗務員?」

最初の表示文は以下の通りです。

『こちらに荷物を置かれる場合は、乗務員が通りました際に、お知らせください。
Please inform the crew when leaving your baggage in this area.』

少し違和感を覚えるのは、この“the crew”です。定冠詞は、①既知のもの、②特定のもの、----当方的英語現場流では、一つしか思い浮かばない時-----に適用します。長い新幹線車両には、乗務員は一人ということは無いわけで、何人かは乗っていると思います。よって、ここは不定冠詞の“a crew”が適当だと思います。以下が、違和感の無い表示ではないかと思います。

『Please inform a crew when leaving your baggage in this area.』

又、“the crew”だと、急に「あの乗務員」と言われる様で、「どの乗務員?」と聞き返さなければならなくなります。

もっとも、新幹線は席についてしばらくすると、乗務員が検札に来ますので、そこで認知されます。そうなると、“the crew”もありえますが、この表示を読むのは大抵乗車後。まだ乗務員には会っていません。そうなると、“a crew”の方が違和感がありません。

同じ問題が含んでいる表示に、以下があります。

『荷物の管理は、お客様の責任でお願いいたします。
We are not responsible the loss of, or damage to any baggage.』

この“the loss”も、「えっ、どの紛失?」と聞き返したくなる響きを持っています。これも多くの紛失の中の一つである、“a loss”を使った、

『We are not responsible a loss of, or damage to any baggage.』

が、違和感がありません。

若しくは、不可算名詞“loss”と定義して、

『We are not responsible loss of, or damage to any baggage.』

とする方が、ぴったりきます。

「荷物を、いくつの駅に分けて降ろすのだ!」

次の表示は、複数形の問題です。

『持ち主が確認できない荷物は、途中駅で降ろす場合もあります。
Unidentified baggage may be removed from the train at stations along the way.』

この、“at stations”。持ち主の確認できない荷物は、途中の駅に降ろされるわけですが、これだと荷物はばらばらにされて、いくつかの駅に降ろされるような感じがします。この主語は抽象名詞の無冠詞ですが、荷物が降ろされるのはいくつかの駅のうちの一つという事で、“at a station”を使った、

『Unidentified baggage may be removed from the train at a station along the way.』

が、適当ではないかと思います。



冠詞の問題は、なかなかデリケートでネイティブ間でも認識の違いで受け取り方が違ってきます。これにこなれていくのには、少しずつ関心を持って、自分ならこう考えるのだがという疑問を持ちながら、やっていくのが良いのではないかと思います。今回はその一環としてエントリーしました。








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