アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
英検一級を斬る------英検一級単語のベンチマークと実際の英単語の乖離
英語圏で暮らしている当方の単語力は、大した事無いという事は、本ブログでも何回かお知らせしました。

先日当方は、“英検一級単語を覚えよう”というWeb-siteの、“ボキャビル四択ドリル”というのに挑戦しましたが、再びそれを裏書きされてしまいました。当方のこのテストの結果は、正解率63%。これは、四択でしかも推測を含めての正解です。本当に自分で使いこなせる単語の理解率(確証率)を、正直に挙げるとなんと17%くらいでした。

これで、アメリカ滞在18年。普通に仕事やコミュニティの付き合いをやっています。英検一級レベルの単語がこんなにお粗末なのに良くやっていけるなと、お思いの皆様方もいるかと思います。これは、どう云うことかというと、以下のケースが考えられます。

1. いちろうは英語の勉強不足であり、こういうことをブログで公表するとは厚顔無恥である。
2. 英語圏で、日常使われる単語は、そんなに難しいものではなく、どうやら、英検一級のベンチマーキング(目指す基準)が方向違いである。

本日は、項目1はともかくとして、項目2を取り上げて論評してみたいと思います。


テスト結果

テストは、まず英語の単語が現れ、それに対して四択の回答候補が現れます。以下のサンプル二点の様な、回答候補です。これを選ぶと正誤が知らされるという事です。英単語の冒頭の○×は当方のテストの結果、四択解答欄の○は正解回答、×は当方が間違えて正解としたもの----即ち不正解----です。

○Probity     不透明な、不明瞭な
          虹色の、玉虫色の
          ○誠実
          扇動する、煽り立てる

×Blurb     縁石、制限
         (法律など)廃止する
          ○宣伝文
          ×褒め称える


これが、30問題続き----全問は巻末に表記しています----、当方の結果は以下の通りです。

正解率(◎若しくは○) 19/30=63.3%
確証率(◎)----使いこなせるもの 5/30=16.7%

なんとも、惨憺たる結果です。

英語圏で日常使われる単語

ざっと見て(巻末)、頭がくらくらする単語ばかりではありませんか。勉強している人にとっては、なんでもない単語ですが、アメリカ在住18年の者でも、お目にかかるのは珍しい単語ばかりです。

アメリカ在住といっても、①日本人社会のみで生活している、②ストリートイングリッシュといって、簡易な英語ばかりで生活していると英語力はついていきませんが、当方は、仕事やコミュニティの付き合い等、平均的に英語を使っています。

その当方が、このありさまという事はどう云うことか?英語圏では、日常---仕事も含め----英検一級程の難易度の高い単語は使っていないという事です。

ここで、英語圏で日常使われる単語の事例をいくつか紹介しましょう。以下は、当方に来た三点の業務メールの事例です。いずれも、業務メールとはいえ、それなりの人が書いたそれなりの文です。又、当方にはCC---写し---で来ており、アメリカ人がアメリカ人に書いたメールですので、日本人相手の手加減したものではありません。

メイル例 : その1-----社内通知文
メイル例 : その2-----客先への値上げ要請レター
メイル例 : その3-----社外からの、安全点検の報告文

ネイティブの手加減なしの英文でも、当方がざっと見て、辞書が必要だったのは、二番目の“客先への値上げ要請レター”の“Perusal”の一点のみでした。全般的に、如何に日常平易な単語が使われているかが分かると思います。

(メイル例 : その1)-----社内通知文

Everyone

I have started a list of questions for ABC Corp. (see below). They are the only new suppliers we have with this new AAA business that we have been awarded. I asked each of you about a week ago to prepare your list. I have only received one list. Others have one in their head, or have other people. OK, good, thank you

Please see list attached and send me your questions so I can cut and paste them into this document. I will be contacting ABC Corp. shortly to secure some of the answers. Put some thought into it and advise. Handwritten notes are acceptable.


(メイル例 : その2)-----客先への値上げ要請レター

Ref: Pricing increase

Dear Mr. M.M

Unfortunately with the volume drop due to MP obsolescence of the part XXX comes the commodity increase to materials for the parts as well. I have attached my suppliers response for justification for your perusal.

In addition, due to the continued weakness of the U.S. dollar & offshore freight cost increases we can no longer support the current pricing for the YYY. Bracket supplied by BBB Corp. to CCC Corp.. We secure two(2) of the components from offshore sources for this assembly.

The price changes are effective subsequent to current dock dates of 2/25/2011. All current firm P.O.’s are unaffected. Please issue all future P.O.’s.

Thank you,

(メイル例 : その3)-----社外からの、安全点検の報告文

Risk Control Visit of January 5, 2011

Dear Mr. H.A:

This letter will confirm my visit to your facility on the above date. The purpose of this visit was to review the extent of operations and related safety efforts in place relative to the insurance coverages provided, and to be of assistance to you in that regard as needed. The visit concentrated primarily on property related exposures and controls. Thanks for the time and help extended to me.

今回は実際英語圏の書き言葉を紹介しましたが、話し言葉になると、その特性上もっと平易な単語を駆使する事になります。



確かに難単語というのは、英語生活を豊かにしてくれるものではありますし、必要になる場合もあります。しかし、上記の事例を見ると、日本の英語学習者の実力診断の道具である、英検一級のベンチマーキングは少し方向が違っているとしか思えません。





(巻末資料----“英検一級単語を覚えよう”というWeb-siteの、“ボキャビル四択ドリル”)

問題冒頭の◎若しくは○-----正解
問題冒頭の◎--------------確証あるもの
問題冒頭の×--------------不正解

○Probity   不透明な、不明瞭な
        虹色の、玉虫色の
        ○誠実
        扇動する、煽り立てる

×Blurb   縁石、制限
        (法律など)廃止する
        ○宣伝文
        ×褒め称える


(以降正答単語のみ表記)
○Polarize 対立する
×Discreet 慎重な
◎Consensus 合意

○Bolster 指示
○Accolade 賞賛
○Contrition 悔恨
◎Coma 昏睡
○Lateral 側面の

×Loquacious 饒舌な
○Abhorrent 忌まわしい
×Reiterate 繰り返して言う
○Zenith 頂点
×Litigant 訴訟当事者

◎Ethic 倫理
×Improvise 即興でする
○Compunction 気の咎める
○Predominance優位
×Deducible 推定できる

○Ambiguity 曖昧さ
×Mortality 死亡者数
×Ascetic 禁欲的な
×Vitiate 無効にする
◎Resolute 断固とした

○Ramification 派生的な効果
○Dementia 認知症
○Obnoxious とても不愉快な
◎Backlash 激しい反発、反動
×Auxiliary 補助の

正解率(◎若しくは○) 19/30=63.3%
確証率(◎) 5/30=16.7%







スポンサーサイト

テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

コメント
この記事へのコメント
この日記だけではなく、他の日記も、興味深く拝読させていただきました。

でも、これに関してはどうかなぁ・・・と思いました。

その人の人生で英語をどう使うかによって、そして、その人がご自分の人生で、英語や英検1級などの資格試験をどのように位置づけているかによって、この英検1級の単語に対する評価が違ってくるのではないでしょうか。

私は元通訳(現在、実務翻訳者)で、特に英検1級の試験勉強をしませんでしたが、英検1級にあっさり通りました。英検1級の単語も、難しいとは全然思いませんでした。私にとっては、普通の英語でした。二次の会話も、スピーチも楽でした。

(私は日本生まれの日本育ちで、日本の英語教育を受けて英語力を伸ばしてきた人間です。でも、母語の日本語とほぼ同じように、英語が使えます。読解でも執筆でも会話でも、特に英語で苦労したことはありません。米国で米国人の英語が聞き取れなかったり、自分の英語が通じなかったこともありません。)

欧米人のように、辞書なしで英語のタイムやニューズウィークをさらりと読める人なら、英検1級の単語も難しいと思わないのではないでしょうか。

英語が母語ではない欧州人でも、辞書なしで、ものすごい速度で、英語のタイムやニューズウィークを読める人が、かなりいますよ。もちろん、彼らの母語がインド・ヨーロッパ系の言語で、根本的な言語体系が同じで理解しやすいということもあるでしょうけれども。

話は少し脱線しますが、英語をマスターしたら、同じインド・ヨーロッパ言語の欧州言語の習得が、本当に楽です。

フランス語なんて、英語と発音は違いますが、ちらりと見ただけで、ルモンドなどの仏語新聞の意味が、速攻でわかるようになります・・・(英語が昔フランス語から、大量に抽象的な単語を取り入れているからです。)

ドイツ語は単語という点では、フランス語ほと類似していませんが、さすがに1500年ほど前に、同じ言語から英語と枝分かれしただけあって、構文が英語とほぼ同じ。なので、これも英語を知っていれば、かなり楽。

話はもとに戻りますが、英語が母語の米国人で、米国の高校や大学を卒業している人は、ほとんどの人がTOEICで満点をとれます。

最近は日本人でも、TOIECで満点が取れる人が増えています。

日本で生まれ育って、日本の学校で英語教育を受けた日本人の私でさえ、徹夜明けで受けたTOEIC試験中に、居眠りさえしなければ、満点でした・・・(くどいようですが、特にTOEIC用の勉強をしたわけでも、ボキャビル本を勉強したわけでもありません。日本国内の中高や大学で英語を勉強し、英語の映画や音楽に親しみ、仕事で英語を使っただけです。)

米国人は、日常会話や日常業務で頻繁に使用する英語だけではなく、ニューズウィークなどの英語も、読める人が多いですね。

欧米人が知っている英語とは、実際に彼らが日常生活や日常業務で使っている英語だけではないのです。

日本人が、いつも使っている日本語の日常会話しか知らないのではなく、その背後に深い日本語の知識があるのと同じです。

それは、日本人の子供が日常会話はできても、日本語の深い知識や語彙や経験がなく、大人の世界で、さまざまな場面に即した深い表現ができないのと同じです。

英語力にどのくらいの深みと幅があるのかによって、いざというとき、それを使ってどのように生きるか、それを使ってどのようにビジネスをするのかに、大きな差が出てくることがあります。

特に英語が母語の人間が『わんさかいる(笑)』英語圏ではそうでしょう。

英語が母語の人間を対象にしたボキャビル本が、英語圏で売れているのも、その表れですね。彼らはもちろん、英語が母語ではない人間を対象にした「英検1級のような基礎単語」を完璧にクリアしたうえで、英語が母語の人間を対象にしたボキャビル本に挑んでいるわけです。

私は英検1級は、いざとなったら実践で使えるような「英語力の深みと幅」をテストしているのだと思っています。単に英語でコミュニケーションできれば良いというレベルではなく、英語圏でも知的レベルが高い英語のネィティブ・スピーカーにどのくらい近づけるか、そのテストであるわけです。

それは英検1級の2次テストのスピーチでもわかります。英検1級の2次テストは、単に英語の文法や表現が正しいだけでは受からない。

英検1級の2次テストでは、相手を説得する、相手を感動させるスピーチ力、プレゼンテーション力、自己発信力が問われる。

これらの能力は、アメリカ人、特にアメリカ人のビジネス・パーソンが重要視して、必死で磨きをかける能力でもありますよね。

どんなに英検1級対策のボキャビル本をやって、1次試験の筆記をクリアしても、2次テストのスピーチで落ちる日本人が多いのは、そのためです。

ちなみに、私の周りでは、TOEIC925点で英検1級に落ち、TOEIC935点で英検1級に受かった人が5人か6人います。

試験内容が違うので、一概には言えないと思うのですが、なぜかTOEIC930点前後が、英検1級レベルに相当するようです・・・

ブロークン・イングリッシュで、日常業務をこなせば良いのであれば、何も頑張って、英検1級のような英語の資格試験を受ける必要はないと思うんですが。第一、そんなもの、いちろうさんの日常業務に要らないでしょう?英検1級の目的と明らかに違います。

いちろうさんのスタンスと、英検1級のスタンスは正反対なのではないでしょうか。

でも、いちろうさんの日記、面白かったので、また来ますね。
2011/04/24(日) 06:02:18 | URL | Sophie #-[ 編集]
Re: タイトルなし
Sophieさん、立派なコメントありがとうございました。エントリーより立派な内容で恐縮しています。

最後のご指摘が当たっていると思いますが、確かに当方のスタンスと英検一級のスタンスが違うのだと思います。ここで言いたかったのは、英検一級を持っていなくても、TOEIC高得点を持っていなくても、英語圏でやっていける方策(ストーリートイングリッシュレベルではなく)はある、という事です。

逆に、日本では英検一級でもTOEIC高得点でも、英語でコミュニケート出来ない人もいるやに伺っています。これは、どうしたことか?少し順序が逆ではなかろうか、というのが当方の考える事です。

こちら英語圏では、英語は勿論”ワールドクラス”ではありますが、皆が皆”ワールドクラス”のレベルの”プレー”をしているわけではなく、我々も受け入れられる”アマチュアレベル”の”プレー”をもしています。それを理解して、高みを極める事のみで疲弊するよりも(これが多くの人のたどる道だと思います)、出来る”プレー”を身につけて、英語圏で”プレー”出来ればよいのではなかろうか、というのが当方の考えです。

またのお越しをお待ちしています。

2011/04/24(日) 12:02:05 | URL | いちろう #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック