アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
英語圏の概念に無い日本語フレーズ集:和英大辞典---”反省しないアメリカ人”というよりも”反省の概念が無いアメリカ人”
英語の上達には、“日本語で考えず、英語で考えなさい”というセオリーがあるそうです。しかし、英語で考えても、それが英語圏の概念に無いフレーズであれば、大きく空振りする事になります。

相手---こんにちは。どうですか?
当方---ええ、なかなか...貧乏暇無しで...

これは、日本ではごく普通の挨拶部分ですが、この答え(当方)の部分の「貧乏暇無しで...」を、英語で考えろという事で、

Ichiro--“Well, I do not have time and I am very poor.”

と答えたところで、英語では全くこういった挨拶の概念がありませんので、相手はびっくりして、話も通じません。こういう挨拶のケースでは、多少心配事があろうと、

--“I’m very fine.”

が正解ですね。

この空振り事例は他にも多くあり、日本語の特徴である謙遜系、謙譲系のフレーズに多くなっていますが、今回は、これらの正解と解説を一挙に掲載してみたいと思います。

1. 一般挨拶の場

*初めまして。
--(正解 : 以下同) “It is nice to meet you.”
--これは定型句です。英語習いたての頃に良くありましたが、「初めまして」に囚われて、”It’s first time ….”と英語で考えると、陥穽にはまります。これは、よほどの事が無い限り使いません。

*貧乏暇無しで。
--“I’m very fine.”
--“How are you? (どうですか?)”に対する答えですが、日本語ではあまり底抜けに明るい答えにはならないようで...。「貧乏暇無し」をそのまま英語で考えると、陥穽にはまります。
--前向き社会アメリカでは、すべて素晴らしくなります。

*どうにもこうにも、生きているのがやっとです。
--“Everything is fine.”
--同上、挨拶定型句ですね。

*なかなか、大変です。
--“It’s very fantastic.”
--アメリカの場合、大変であろうが無かろうが、挨拶は”fantastic”です。これを、”It’s very hard and having struggled time.”とすると、相手もびっくりします。

*今後も宜しくお願いいたします。
--“it’s nice to meet you again.”
--初めて会って挨拶し談笑後に、「今後も宜しく」という時。
--英語には、この「宜しく」にあたる適当な語がありませんねぇ。

*ただいま!
--“I’m home!”
--これも、最初は奇異に感じましたが...

*いただきます。
--該当無し。
--食事の時には、大部分はわいわい言いながら食べ始めます。宗教心の強い人は、お祈りで何かぶつぶつ言って食べ始めますが。



2. ビジネスの場

*遠路はるばる、道の悪い所を大変でしたでしょう。
--“Did you have a good trip?”
--挨拶は、すべからく良い表現を採る様で...

*ご愛顧いただいています。
--“We have been serving the products to you.”
--ビジネスでも、殆んど従属感はありません。

*可愛がっていただきました。
--該当無し
--これも従属感はありません。

*弊社は/私どもの会社は
--XYZ company ….”
--これも会社観の違いでしょうか。”Our company …”とは、あまり聞きません。大抵名前で呼んでいます。
--又、「弊」と言う、自分を貶めて言う言い方はありません。

*お会社様
--“Your company …”
--この日本語は、日本の自動車大手のT自動車で、サプライヤーに対して言っているのを聞きました。「値段では絞るが、呼び方だけは慇懃にしておけ」の精神でしょうか。丁寧語もここまで来ると、極め尽くしですね。

*納めさせていただいています。
--“We are proud of being your partner.”
--アメリカでは、あのT-Motorも“パートナー”ですぞ。

*未熟で何も出来ませんが....
--“I am very convinced I have experiences and I can do the tasks.”
--これを(日本語訳のまま)こちらで、新任の役職の人が挨拶で言うと、「なんて自信の無い人だ。大丈夫?」と受け取られます。

*愚直にコツコツと....
--“ aggressively ….”
--これもあまり直訳で、“ slow and steadily…”とは言わないですね、こちらでは。嘘でも前向きな姿を見せる社会です。

*前向きに検討させて頂きます。
“I will let you know the way what I will be doing.”
--日本では、「やる気の無いという意味」という穿った見方はさておき、これもこちらでは漠然とした言い方は馴染みません。検討とは、何かをするのか?返事はどうするのか?具体策がついてまわります。

*汚い所ですが、(工場を)見ていって下さい。
--“I believe you’ll have a nice plant tour.”
--自分の事は貶めない国民性です。

*(弊社への)ご忌憚の無い指摘をお願い致します。
--該当無し。
--アメリカの、対等の精神では考えられない言葉です。

*ご指導、ご鞭撻をお願い致します。
--該当無し。
---対等の精神では考えられない言葉です。

*先日は、お忙しい中ご面会頂き、どうもありがとうございました。
--“It was nice meeting you yesterday.”
--前の事をあまり振り返らない国民性です。お礼はくどくどと申しません。

*まだまだ安心できないよ。油断するなよ。
*今期は良く頑張った。しかし、もっと頑張ろう。
*生産は上がったが、伸びが落ちたね。

--“I am honored you did great jobs. I would like to appreciate to you greatly. ”
--ビジネス面で、文化摩擦が発生する典型的な部分です。良かった時には、大いに誉めないとアメリカ人にはストレスが溜まるようです。「禍福はあざなえる縄の如し」や「人の一生は重き荷を背負うて行くが如し」は理解できない世界です。

*何をしているんだ!そんな事ではダメだぞ!(叱る。<---->育てる。)
--大の大人が叱られるというのは、こちらでは無い概念です。というか、危険な、非常に緊張感の伴う状態と言えます。“Scold”という言葉もありますが、これは子供に対しての事でしょうね。
--当然、叱って育てるという概念もありません。

*(見積りは)ご期待に沿えず、大変申し訳ありませんがご辞退させていただきます。
--“I regret I decline the offering.”
--これも、見積もり辞退なぞは、こちらでは申し訳なくも何もありません。辞退は”decline”ではありますが、”decline”の突き放した音韻と感じに、最初はオドオドした物でした。

*連絡させて頂きます。
--“Please be informed that …”
--“Please be advised that …”
--丁寧言葉の定番で、メール等で良く使います。これも、英語初心者の頃には出てこなかったフレーズです。

*申し訳ありませんが、解りかねます。
--“I have no idea.”
--こちらでは、「解らないのは、私のせいでもなんでもありません」という気概です。

*難しい質問ですね。ポイントをついた質問ですね。
--“That is a good question.”
--これは、英語の方が“変化球”となっていますね。” good”のところで額面通り受け取らないで下さい。

*どうでしょうか?
*どう思うかね?
*よろしいでしょうか?
*都合はどうですか?

--“Did you make decision for it?”
--“I am asking that …., again.”
--“Are you available for the meeting this afternoon?”
--阿吽の呼吸の無い社会。聞く時もはっきり、くどく聞きます。

*勘案して。
--“By comparing…”, ”By considering ABC…”, ”Deducing XYZ…”
--これも日本語は抽象的ですね。こちらでは、具体的に言います。

*議論しよう。
--“Let’s have an input meeting.”, ”We will have a budget meeting to brain storm.”
--これも、あまり抽象的に、”Let’s discuss the budget.”等の言い回しは少ないですね。日本では「議論」というカテゴリーに、情報共有、ブレインストーミング、意見具申、決定、等が含まれますね。

*社長さん、部長さん。
--肩書きでは呼ばない。
--大体ファーストネームで呼びます。

*お客様には、大変ご迷惑をおかけしますが...
*お騒がせしています。

--“Our customer service will deal this.”
--“This is a mechanical problem.”
--謝罪の殆んど無い社会。こちらでは「商品に不都合があればカスタマーサービスが取り扱います」、「(放映中のテレビの映りが悪いのは)機械の故障です」、という事で、店員やテレビ局員個人が謝る事ではありません。

*反省します。
--該当無し
--和英辞書を見ると”review”や”think over”がありますが、根本的に違います。こちらでは反省という概念がありません。
--日米文化に造詣の深い、ロッシェル・カップさんのベストセラー著書に「反省しないアメリカ人をあつかう方法」というのがあります。これの英訳はHow to deal with Americans who don’t “HANSEI” だそうです。さすがにこの辺りのエキスパートのロッシェルさん。最後の“反省”という言葉が、英語では表しようがないので、そのまま“HANSEI”という言葉を入れています。これも英語のままで考えても、概念を理解しないと当てはまらない用例ですね。ロッシェルさん、うまくかわしています。

*贅肉の無い。
--“ lean status…”
--これを、” should not be extra fat like you have…”としないように。こういうジョークはハラスメントで訴えられます。

*心を込めて。
--該当無し
--「この設備は、一人一人の心がこもっていなければ機能を発揮しないよ」というフレーズは、こちらでは成り立ちません。



3. 謙遜時に

*愚妻愚息です。
--“These are my wife Nancy and my son John.”
--ファミリーに対してこそ、へりくだる文化は無く、皆素晴らしい一員です。名前までつけるのが一般的です。

*ふつつかな息子ですが。
*まだ、何も分からない息子ですが。

--“I am very proud that he does very good jobs.”
--日本では普通のセンスですが、こちらでこのまま直訳すると、会話に大緊張が走ります。

*(英語は)下手ですが。
--該当無し
--これも日本独特の表現。こちらでは、外国語を習い簡単な挨拶が出来れば、もう鬼の首を取ったような勢いです。

*恥ずかしいかぎりで...
--(殆んど)該当無し。
--“ shaming…”や” embarrassing …”それから”stigma…”がありますが、非常に限られた使われ方をします。「恥」という概念の違いでしょうか。


4. 贈り物をする時

*つまらない物ですが。
--“This is the gift you’ll enjoy.”
--日米文化比較の定番。This is a cheap and a bad thing…”と言うと、相手のアメリカ人から“えっ、つまらない物をくれるの!”と言われそうです。

*何もありませんが。
--“Here we are, it’s very nice dinner we are preparing for you!”
--“We have nothing special for you, but …”と、言いつつ、素晴らしいご馳走が出てきてびっくりというのが、日本人の家に招かれた多くのアメリカ人の経験する事です。


5. 世相 / 価値観として

*景気はなかなかですし、収入は少なくなるしで...。(国際情勢、社会情勢)
--該当(ほぼ)無し。
--こちらではあまり、世相を自分の境遇と重ねて話題にはしないようです。

*最近の若い奴は...
*オヤジ。
*おばさん。
*年寄りの冷や水じゃないの。

--該当無し。
--前回のエントリーの様に、あまり世代間でステレオタイプ的な判別はしないようです。
--年(寄り)という事で揶揄する事も少ないようです。

*内向き志向。
--該当無し。
--前回のエントリーの主題でしたが、無理に訳すと、”Non-aggressive and non-stretched target oriented”とでもなりましょうか。”I believe I know who I am.”が価値観の上位を占めている社会では、先の直訳は、訳であってこちらの概念には無いように思います。

*お父さんそっくりね。
--該当無し
--“個”の世界で、親は親、子は子という気概が強いのか、これも日本ほど親子比較はしないようです。もっとも、離婚連れ子家族が多いので、親子と言えども血のつながりの無い人も多く、話題にするのもタブーみたいな所があります。


6.スポーツ応援の場合

*何をしているんだ!
--“Good jobs!”
--こちらは、どんなに下手な子でも、上記英語のようなポジティブな声をかけます。誉める社会です。

*頑張れ!
--“Way to go!”
--“Hang on!”

*全力を尽くせ。
--“Do the ways you have!”
--「全力を尽くせす」で、日本人からは”Do your best!”と良く出てきますが、すこしこちらの人にとってピンと来ないようです。こちらの心情を直訳すると「貴方の持っているやり方でやりなさい」というような感じが近いでしょうか。


7.その他

*お任せします。
--該当無し。
--お任せの無い社会。自分の人生設計からレストランのオーダーに至るまで、すべからくお任せというのはありえません。

*申し訳ありませんが、用事がありますので(お断りさせていただきます)。
--“I don’t think I can (go lunch with you).”
--この英語を日本語に直訳すると、「(食事に、行く)とは思いません」。誠にあっさり、しがらみも何もありません。日本でこんな言い方をすると、波紋が生じるでしょうね。

*あわせる顔がありません。面目ない。
--“ lose face…”が近いですが、文化的な違いで、あまりこちらでは使いません。



さて、標題の“反省”という概念ですが、無理に訳せば、Review activities regrettably and apologetically with some feeling of sin.”とでもなりましょうか。しかし殆んどの人が、”I will be like who I am.”や”I will do the way what I have.”の人生観を持っているこちらアメリカでは、この“無理訳”も理解してもらうのに、時間がかかると思います。




(尚、これらの正解は統計学的に見た一般事象で出しています。学研[心理学や教育学]的にみると、直訳される場面もありますが、その時には沢山の背景説明が必要となります。)




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コメント
この記事へのコメント
こんにちは!
最近、洋書を読んで多少英語の表現に慣れてきたせいか、英語の言い方の方が好ましく感じますね~~~!

表現の違いはあっても、やっぱり人間関係はどこでも難しいのでしょうね・・・。
日本のムラ的な付き合いに疲れてきても、アメリカのパーティ文化も敷居が高そう(><)
でも、アメリカの方がいろいろ納得感が高いのかもしれないと思う今日このごろです。
2011/02/19(土) 15:52:46 | URL | ペンちゃん #-[ 編集]
Re: タイトルなし
ペンちゃん、こんにちは。

> こんにちは!
> 最近、洋書を読んで多少英語の表現に慣れてきたせいか、英語の言い方の方が好ましく感じますね~~~!


当方は、英語のこの距離感のある言い方に気に入っています。特に(文中にもありますが)断る場面の言い方は、楽ですよね。"I do not think ..."で、理由は一切不問です。パーティも出るのも自由、出ないのも自由みたいな雰囲気も(日本より)強いです。

こちらは、義理やしがらみの少ない社会です。言い方もこのエントリーのように、日本語とは随分変わってきます。
2011/02/20(日) 02:03:04 | URL | いちろう #-[ 編集]
いちろうさん、こんばんは
クスクス笑いながら読ませていただきました。
如何にも日本人らしさがしみついた私としては、ドライな英語流がまぶしくもあります。(笑)
2011/02/23(水) 00:24:19 | URL | Nemo #6jn2IUrI[ 編集]
Re: タイトルなし
Nemoさん、コメントありがとうございます。

> クスクス笑いながら読ませていただきました。
> 如何にも日本人らしさがしみついた私としては、ドライな英語流がまぶしくもあります。(笑)

ややユーモラスに書きましたが、この中のかなりの部分は、いわゆる文化摩擦で深刻な問題になる可能性のものもあります。特にビジネス関連ではそうですね。英語そのものの問題よりも、この摩擦の問題の方が大きいでしょうね。
2011/02/23(水) 12:39:02 | URL | いちろう #-[ 編集]
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2015/06/26(金) 01:36:13 | | #[ 編集]
Re: タイトルなし
りんさん、そうですね。ご指摘の点は言えると思います。
2015/07/03(金) 04:17:41 | URL | indianaky #-[ 編集]
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