アメリカ中西部での生活、仕事、英語、スポーツ、文化に関する草の根評論
アメリカの軍隊への志願状況-----経済的な側面だけではないその状況
前回のエントリー、【アメリカ一般社会のアメリカ軍への尊敬の念と優遇措置----スポーツで職場で地域で】を紹介した時に、「アメリカの軍隊は、経済困窮者の救済の意味合いがあり、軍隊にそんなに尊敬の念は無いのではないか?」というご意見をいただきました。

アメリカの何を語るにしても、「群盲像をなぜる」になる事はわかっていますが、当方の見たアメリカの軍隊志願の背景を述べてみたいと思います。

要諦としては、「軍隊志願は、確かに経済的な側面もあるけれど、アメリカの①州単位の部隊、②歴史の評価軸が長い、③宗教、というファクターも存在する」という事です。




州単位の部隊

南北戦争の頃からそうですし、今でも同じ事ですが、アメリカの軍隊(のある部分)は州単位で構成されています。即ち各州が軍隊を持ち、連邦政府の要請に応えて各戦地に派兵するわけです。こちらケンタッキーでも、最近ではイラク戦争やアフガン戦争の時に、州部隊が派兵されているニュースが出ました。

広大な国土ゆえ、ともすると国という概念が沸きにくいアメリカですが、州単位では連帯感が出てきます。スポーツの世界でも、遠い地域の強豪チームより、地元のチームの応援に力が入ります。こちらケンタッキーやインディアナでも、現下の関心は大リーグの強豪チームでもなければ、プロフットボールのチームでもなく、大学フットボールの地元大学チームの動向です。日本でいうと、巨人やサッカーの名古屋グランパス(昨年度のチャンピオン)ではなく、大分大学サッカー部(大分の場合)の動向に関心が集まるようなものです。

この、州の連帯感をベースに、志願兵募集しているわけですので、志願者も経済的な理由が大きいかと思いますが、この郷土愛の部分もかなりあることは否定できないと思います。

歴史の評価軸が長い

このブログでも、何回か紹介をしましたが、アメリカでは依然南北戦争(1,860年代)のことが取り上げられ、いろいろなイベントも行われています。日本でいえば明治維新の頃の内戦です。日本では、テレビや映画のドラマに出てきますし、地方独自ではいろいろイベントがあるかもしれませんが、こちらでの取り上げられ方は、もっと広範囲で、頻度も突出しています。

又、第一次世界大戦や第二次世界大戦の事も取り上げられます。特に第二次世界大戦は、まだ参戦経験者が存命しているという事で、その方達を取り上げた記事も見られます。

日本ではこの歴史軸がアメリカに比べて非常に短い訳で、第二次世界大戦以前はその歴史観は否定されている事もあり、なかなか出てきません。出てきても小説(司馬史観が良く出てきますね)や
映画の世界だけです。

その流れの中でのアメリカの志願兵の募集があります。ここの部分も日本で考える経済困窮者のみ(その事実はあるとは思いますが)の救済だけでは説明がつきません。

宗教

アメリカは信教の自由が保障されている国ですが、実態としてはキリスト教の国です。当方の以前住んでいた人口1万人位の小さな町でも、教会が15もありました。又、学校の行事等に参加してみると、集会の始まる前に聖書の一説を唱えて“アーメン”と締めくくり、それから議題が始まります。

国民みんなが宗教心に染まっているわけでは無いようです。日曜日の朝でも(教会の開かれる時間帯。他時間帯もありますが)、ゴルフに興じている人もいますし、教会行事に皆が皆参加しているわけではありません。

しかし、災害時のチャリティやホームレス救済イベントの時には、この教会組織が前面に出てきて力を発揮します。行政組織のカバー出来ない部分には必ず顔を出し、人々の救済に当たります。人々の深層心理の中に、キリスト教のポジティブな面が植えつけられていきます。

現在のアメリカの関与する紛争地はイスラム教圏が多いようです。そこに軍事関与する国もさることながら、それに対して志願する兵員の深層心理に、この宗教的なバックグラウンドが寄与していると思います。文明の衝突とも言われていますが、これは十字軍の頃からの性(さが)なのかもしれません。


先日の新聞に、第二次世界大戦のドイツ空爆に活躍したB-17爆撃機の展示が、近くの地方空港で行われているニュースが出ました。それに、当時参戦した88歳のGene Holtman氏の回想が、写真付きで紹介されていました。この時間軸の長さ、評価軸が現在の軍隊志願に一定の役割を与えているのには間違いありますまい。





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